山岳ガイド 眞さんの山がいど日記

山岳ガイドが出あった自然、感動、日々の様子など綴ってみました。このブログで、のんびり"ねまらっしゃい"!

高等学校等登山指導者夏山研修会

2019年08月10日 | 国立登山研修所

8/6~9

2017年3月27日栃木県高等学校体育連盟が主催し登山専門部が主管する「春山登山安全講習会」中に那須岳エリアで

発生した雪崩事故を受け、その年の夏から実施された研修会で今年で3回目になります。

一回目からオファーをいただいていたのですが、観測隊の任務と重なりなかなか関わることができませんでした。

主催:独立行政法人日本スポーツ振興センター、

共催:公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会、

   公益財団法人全国高等学校体育連盟

2泊3日という短い研修期間ですが、高校山岳部の顧問の先生にとっては、夏休みが短くなり(3週間)、高校山岳部の夏山合宿、高校総体等などもあり2泊3日が一番参加しやすい期間となったようです。

それでも、お忙しい先生方にとって、この時間をつくって参加することがとても至難なことだということも

関わってみてはじめて理解することができました。

この度の研修では1班を担当することになりました。

最初にこの研修の理念ともいえる北村先生の講義”「PDCAサイクル」に基づいた登山のプランニングと安全管理”についてを聴きながら、さてさて、伝える内容が多すぎて正直どうしようかと、、、

1日目は まずは各自がどのくらい歩けるか、行動できるか”ものさし”の確認をしながら行動計画、リスクチェック。

午前中に開会式、講義、判別研修、入山準備、

午後から入山、雷鳥沢キャンプ場で幕営、判別協議の予定でしたが室堂についたとたんいきなりの雷雨

雨宿りしてる時間を利用してパッキング講習、読図講習とタイトなスケジュールなのでのんびりするわけにもゆきません。

食事の準備をしながら明日の行動計画についても話し合われました。

食事は、研修所スタッフの方に準備していただき全班同じメニューです。

キムチ鍋の完成です。

行動計画についての判別協議では、

生徒の負担を減らすため早朝行動を控える?

ヘッドランプをつけて歩くのは生徒にとってリスクが大きい?

夏山の最大のリスクは”雷”!

そのリスクを回避するには?

そんな議論もありましたが

結果、早朝出発、山登りの原則です!

議論を重ねた末の、4時出発となりました。

こんな感じであっという間に1日目はおわってしまいました。

2日目 実技研修 2時半起床、4時出発。

山登りの基本は歩くこと、歩けることではないでしょうか。

ということで1班の研修テーマは”歩くこと!”いたしました。

入山前に話し合われたコースは今感じでした、、、

雷鳥沢キャンプ場 ~ 劔御前小屋 ~ 劔御前 ~ 剣山荘 ~別山 ~ 大走り ~ 雷鳥沢キャンプ場

予想コースタイム:9時間

いざ出発してみると、実際は劔御前手前から道が不明瞭になり藪漕ぎ、

ガレ場、

岩稜通過と

初めて経験することばかりで

雷鳥沢キャンプ場 ~ 劔御前小屋 ~ 劔御前 ~ 剣山荘 ~劔御前小屋 ~ 雷鳥沢キャンプ場

4時に出発して、テント場に戻ったのが13時半ころ 行動時間:9時間30分 歩いた距離:約7㌔

 

木橋を渡るときの注意、歩き方:フラットフィッティング、疲れない歩き方、足の置き方、休憩の取り方、岩場の歩き方、悪場の通過、雪渓の歩き方、渡渉時のロープ張り込み、注意の仕方など多くのことをお伝えしました。

予想に反して雷雨にならなかったのでテント場についてから野外で活動できる時間あり、

ツエルトの張り方、ツエルトの利用方法、背負い搬送などの講習をして夕食の準備に取り掛かりました。

今夜はカレーライスです。

3日目 

4時起床、テント撤収、パッキング方法についての講習、

実際の雷鳥坂の地形を見ながら地図を読んでみたり、

コンパス・ワン・ツー・スリー!

なかなか思い通りにならないですね、、、、

室堂周辺では山座同定、自然観察、

10時室堂集合下山、研修所に戻って後片付け、グループミーティング、

閉校式と目まぐるしい3日間となりました。

でも多くのことを学んでいただいた3日間だったのではないでしょうか、

振り返りのグループミーティングで”生徒の満足感”というフレーズが出たことで

わたくしも、いい研修会になったなと実感いたしました。

高校山岳部の現場で苦悩、生徒のことばかりを思っている先生方の真摯な姿にこころ打たれ切磋琢磨できた3日間でした。

感謝!!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする