6月24日
ファーストエイド講習会が、予定通り終わり、夜行バスの時間まで6時間どうやって過ごそうかと悩んだ末、映画『剱岳 点の記』を新宿で観ることに。
平日だから空いているだろうと、19:00の上映開始時間ぎりぎりにチケット売り場ついたら、なんと残り席数10席と表示、並んでいる間に残席4、ようやく最前列に座ることができました。
まちがいなく、全てが剱岳周辺での撮影でした。剱岳南壁、剣沢雪渓、長次郎谷、雪のシーン、雪崩、マタギのグリセード細かい場面、歩き方、悪天候時のテント収納などリアルです。
最前列で観ていたので、長治郎役の香川照之の顔が高所での撮影のせいなのでしょう、ややむくんでいたりと過酷な撮影を想像してしまいました。役者皆さんも頂上へ登っています。
依頼人:柴崎の「登りたい」という気持ちを大切に思って、当時、死の山と忌み嫌われていた剣岳の案内を周囲の反対、父子の断絶にあっても引き受ける姿、頂上を目前にロープを解き柴崎たちに頂上を譲る宇治長次郎の生き方に、仕事がら共感をおぼえました。
柴崎芳太郎は山形県大石田出身、何度かムシカリの話、「山形出身・・・」というせりふ、ワンシーンだけですが山形の方言もしゃべります。 ぜひ、ご覧ください。
6月24日
社)日本山岳ガイド協会主催のファーストエイド講習会に参加してきました。
協会では、昨年秋に1回目の講習会が開催されて、今日が2回の講習会です。
いままでは、遭難対策研修、ガイド研修などで、危急時対策としてけが人の搬送方法などを学んできたけれど??
その前の山岳事故を想定しての応急処置についての本格的な講習会は実はなかったのではないでしょうか。
今回は 1日だけの講習会でしたが、豊富な登山経験を持ち、災害医療現場で活躍されている、
金田正樹先生、志賀尚子先生、吉岡留美先生から、3Sを意識した、実践的な応急手当方法を学ぶことができました。
【ギブス包帯による固定。雪山、岩場など副木が手に入らない場所でも心配ありません。長時間の搬送に耐えることのできる強固な固定法です】
他のファーストエイド講習会などは、都会や町での災害を想定、要救助者を救急隊に引き渡すまでの時間が比較的短い時間の中での応急手当が主のような気がします。登山中の事故で活用するには各々一工夫する必要がありました。また、あまり実践的でない部分も多いような気がしました。
【この講習会を受講したガイドはこのオレンジ色のファーストエイドキットを持っています。少々大きくて重いのが難点】
でも、この講習会は最初から山での事故、ケガを想定しての内容で実技中心に構成されています。
山岳事故は、医療機関へ引き渡すまで何時間も何十時間も搬送をすることもあります。それに耐える応急手当が求められます。傷の洗浄、傷の抱合、止血、ギブス包帯の使用による骨折処置、三角巾、包帯の巻き方などの応急手当が必要となります。そのためにはファーストエイドキットは少々かさばっても、仕方ありません。
【スキンクロージャーによる傷の抱合例】
習った翌日から役立つ内容ばかりの大変心強い講習会でした。
【下腿開放骨折の止血、ギブス包帯による固定風景】
6月12日
今日は、いろいろなことがありました。昼間は甑岳登山、夜7時から、市内タントクルセンターで約1年かけて密かに撮影が進められてきた、ドラマ『さくらんんぼ 佐藤錦誕生ものがたり』の関係者試写会へ出かけてきました。こ作品の総合プロデューサー、ナレーションを務めたのが、ガイド仲間、髭のジョニーさんです。なぜか、わたくしもちょい役で・・・?
“さくらんぼ”といえば佐藤錦と言われるほどの品種、100年の歳月を耐え抜いて今の私たちの口に!青森で“奇跡のりんご”と呼ばれれている、木村秋則さんの無農薬・無肥料りんごの話と重ねあわせるようなおもいで観てきました。
ぜひ、ご覧ください。DVDで発売中です。
この作品は実話を基に製作されたドキュメンタリードラマ!!
さくらんぼ “つくりびと” ものがたり!!
【ストーリー】
さくらんぼ佐藤錦は、大正初期、雑木林を開墾した荒地に生まれました。しかし、戦時体制下に入った1937年を境に、さくらんぼは贅沢品であるという理由で、樹の伐採を余儀なくされるという運命に翻弄されます。そして、生みの親との別れ、育ての親の情熱・・・。
作品は貧困に喘ぐ大正から昭和初期の東根村(現:東根市)を舞台にさくらんぼの品種改良に賭けた「生みの親」佐藤栄助の生涯と、彼を支えた「育ての親」岡田東作の功績に迫る初の試みです。
スタッフ、出演者は地元有志の皆さんで、先人の偉大にして輝かしい足跡を後世に残そうと、一年の歳月をかけて完成させた作品です。
購入希望のかたは、下記HPより電話で直接お問い合わせください。
6月12日
今日は、ガイド仲間、ひげのジョニーのピンチヒッターで、地元も地元、町内の山、自宅から朝に夕に仰ぎ見る、甑岳へ登ってきました。登山の準備をしていたら、目の前で雷鳴が轟き、近くの小屋で30分ほど雨宿り、低山でも油断は禁物。
登ってみると、展望も良く、植物も豊富、登山時間4時間程度と手ごろでも、結構楽しめる山でした。
頂上では、地元の私もまだ食べていない初物“さくらんぼ”を仙台の方からご馳走になる、ミステリアスな感動を味わいました。
眼下には、銀色に輝くさくらんぼハウス、登りはゆっくりと花を見ながら、下山は仙台行きのバスに間に合うようにと、駆け下り、久しぶりに楽しく登ったふるさとの山でした。
5月30日(土)
品川駅近くの 東京コンファレンスセンター品川で開催された、学術集会に久しぶりに参加する機会に恵まれました。今年の集会テーマは『登山医学の原点』、2日間の予定で開催されました。
発表は多岐にわたり、急性高山病、急性心不全、高地肺水腫、高地脳浮腫、といった低圧酸素によって生じる障害、低体温症や凍傷といった寒冷による障害、紫外線や宇宙線による障害など循環呼吸系を中心とする病態生理、登山や高所(2500m以上)で起こる運動機能や神経機能などのあらゆる障害に関する発表が行なわれました。
参加者も医師や研究者、医療従事者ばかりでなく、登山や高所での健康に関わる旅行業者、山岳ガイド、遭難対策関係者の方々が多数参加されました。
特別講演では『75歳、エベレストへ登頂への挑戦 ~アンチエイジングと不整脈の克服』 三浦雄一郎氏(冒険家・ミウラドルフィンズ)が講演。
75歳にして2回目のエベレスト登頂の栄光、その影では登頂直前に慢性心房細動がもたらす心機能障害を克服、高山守正先生を中心に計画された医療チームのサポート体制による登山や息子でもありパートナー三浦豪太氏の急性高所性心肺脳障害からの生還などを語っていただきました、最後に『夢こそ人生』と結ばれ、80歳に3度目のエベレスを目指す抱負も話され、窮地に立っても“あきらめない”、“投げ出さない”ことがどんなに大切なことか教えていただきました。
次に、三浦豪太氏の話を伺いながら、高度障害に苦しみながら冷静に下山されたこと、私も過去に同じような症状に見舞われ、数日間意識障害、半身麻痺になったことを重ね合わせながら、自分がかかった症状とその原因の糸口が少しわかりかけたような気がしました。あらためて、自分も生きて帰れてよかったなと同感しながら、聞いていました。
そして、友人Kの発表は ~登山環境と遭難対策~ 『月山における雪崩事故防止講習会について』というテーマで医師が雪崩事故防止講習会に関わることで、実際の遭難時の応急手当、救急救命の現場当事者と医療関係者の距離が狭まり、双方が同じ方向に向き合い遭難者の救命につながる良い機会と話されました。他の発表者のように臨床からの報告ではなく、対極な視線からの報告が新鮮でもあり、今回のテーマに合致した発表をいただいたような印象を受けました。
2日目は、市民公開講座『自然生活に知って欲しい“ファースト・エイド”』に参加してきました。
『救命手当』と『応急手当』の違いや知っているようで知らなかったこと、ついつい吉田先生の話に引き込まれ、講習時間2時間がとても短く感じるほど、新鮮な内容が盛りだくさんありました。
ケガや急病、突発的な事故への初期対応が“ファーストエイド”すなわち応急手当ということを再認識できた有意義な講習会でした。地方でもこのような講習会が実現いただけることを切望いたします。
最後に、主催された高山守正先生の会長講演、結びのあいさつを紹介したいと思います。
『・・・この登山医学会は決してヒマラヤスーパーアルピニストの行動を支えるだけではない。里山から超高所まで、全ての年代、全ての人へ、個人個人にあわせた適切な運動生理と医学的な指導を行い、必要に応じて治療を加えることによりアスリートも疾患既往者もなく、安全で楽しく、ちょっと冒険的な山行も出きる様に、サイエンスの目を持ってサポートしてゆくのが私たちの最大の命題である。元気に、楽しく、安全に山を登ろう!』と話されていました。
まさに、
“元気に、楽しく、安全に山を登ろう!”は、ガイドの極意ではないでしょうか。
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