古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

パン屋再襲撃 村上春樹+人生論

2023-10-09 04:57:58 | 小説の紹介
人生というものを最近、よく考える。とくに時間に

ついて。人生は長い、が、あっという間でもある。

人生でなにを為すか、為さないのか。それが、問題

だ。

人生、100年時代といわれている。ということは、

丁度、折り返し地点。後半、どういうことが、待ち

構えているのか。誰にも分からないだろう。

分からないから、生きていくのだ。生きていくという

ことは、と、簡単に言えないから、おもしろいのだ。

今日のレビューはパン屋再襲撃ですよ。

文春文庫   1985年

ぼくの評価では、この短編はA+だ。こまかい芸がいたる

ところに張り巡らされ、文章も非常に凝っている。

それでいて、あっさりと読めるという。もちろん、常識的に

不可解な点がないわけじゃないが、そこは、文学的処理に

よって無になるだろう。いや、この不可解な点。例えば、

散弾銃を持っていたり、プレートにガムテープを貼ったりする

技をなぜ備えているのか、という点において、ぼくらはとても

自由にこの短篇に入っていけると思うのだ。

1985年、まだ、文学に対して溢れるような若さと才気を

もっていた春樹氏の一瞬の輝きを見るだろう。このあとに、

数々の名作をものにしていくことを思うと、この短編の持つ

意味は大きいと思う。









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