映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

幸せのレシピ

2007年10月09日 | 映画(さ行)

ほんわかとおいしい人生を楽しむためには、「完璧」ばかりではダメ。
ケイトがみつけた、幸せのレシピとは・・・?

              * * * * * * * *

ケイトは、ニューヨークの高級レストランの料理長。
この料理長の座に着けたのは、相当な努力の賜物。
彼女はこの仕事、この職場が人生のすべてと思っています。
常に完璧を目指す彼女は、妥協を許さない。
お客が生焼けだというフォアグラも、これはこの焼き方で完璧!!と一歩も譲らない。
客商売ですからねえ・・・。それではまずいでしょう、と私でも思います。
レストランのオーナーは彼女の腕はみとめているものの、このあんまりな頑固さに、彼女にセラピーを受けるようにと勧めます。

さて、そんなある日、彼女の姉が事故で亡くなり、その娘、つまり姪のゾーイを引き取ることになりました。
母を亡くし、新たな環境にもなれず、ふさぎこむゾーイ。
子供との接し方もわからず、戸惑うケイト。

一方レストランに新しく新進気鋭の料理人がやってきます。
陽気で人懐っこいニック。
たちまち厨房の雰囲気を明るくし、みんなになじんでしまう。
そのニックを、警戒するケイト。
夜、ゾーイを家に一人にしておけないと思ったケイトは、レストランの厨房にゾーイをつれてくるのですが、ゾーイはすぐにニックと仲良くなり、笑顔を見せる。
感謝しつつ複雑な心境のケイト。
まあ、そんなこんなで、次第に、ケイトとニックの間に愛情が芽生えていく・・・と。

この映画がただのコメディーでなく、もう少し、ホネがある感じに仕上がったのは、ゾーイ役のアビゲイル・ブレスリンのおかげのような気がします。
母親を亡くした子の悲しみが、ひしひしと伝わってきました。
そのリアルな演技が、コメディーの枠を超えている気がするのです。
さすが、今ピカイチといわれる子役。
「リトル・ミス・サンシャイン」の頃より、少し大きくなって(当然かも知れませんが)、この先も楽しみです。
ポスト、ダコタ・ファニングになりましたね。
子役の世界はその性格上入れ替わりが早いのでキビシイ!

それから、合間合間に登場し、なかなかいいアドバイスを授けてくれるセラピストも、いい味出ていました。
料理の試食までさせられて。

この映画はドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のリメイクということです。
外国映画のリメイクが得意なハリウッドですが、なんでわざわざ、リメイクなの?と思うこともありますね。
まあ、元の映画を見ないとなんともいえないかな。

あんな、威張って頑固なシェフのいるレストランはちょっと、恐ろしくて近寄りたくない気がしますが・・・まあ、最期のビストロなら、行ってもいいかなあ・・・。
そういえば、「レミーのおいしいレストラン」も、最後はレストランでなくビストロを開くのですよね。
最高、至高を目指すレストランでなく、もう少し力を抜いたビストロ。
そんなにがんばらなくてもいいんだよ。もう少し、楽に、ゆっくり楽しんで行こうよ。
というのが近頃のスタイルでしょうか。アメリカも、日本も。

近頃ハリウッド映画見て思いますが、中華とか日本食が本当にアメリカでもなじんでいますよねえ。必ずといっていいくらい、お箸を使っているシーンもあるような気がする。
ちょっと嬉しくなってしまいます。

2007年/アメリカ/104分
監督:スコット・ヒックス
出演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン、ボブ・バラバン
「幸せのレシピ」公式サイト