映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

偶然の恋人

2008年06月27日 | 映画(か行)

(DVD)
これは、ベン・アフレック頼みの単なるラブストーリーかと思ったのですが、意外としっかりとしたドラマでした。
ベン・アフレック演じるバディは、空港で偶然知り合った脚本家のグレッグに飛行機のチケットを譲ります。
悪天候のため大幅に欠航便が出て、急ぐ彼に席を譲ったのです。
ところが、その便が墜落事故。
グレッグは妻と2人の息子を残し、帰らぬ人となってしまいました。
善意でしたこととはいえ、
自分の身代わりに死んでしまったも同様のグレッグに対して、バディはひどい罪悪感を覚えるのです。
あるとき彼は、グレッグの残された家族の様子を見に行きました。
仕事に出て、けなげにがんばっている妻アビーに、つい手助けをしてしまいます。
そんなうちに、次第に接近していく二人の心。
片や未亡人。
バディも独身なので何の問題もないことながら、
そもそも、バディはグレッグに航空券を譲ったことをどうしても打ち明けられないのです。
初めは彼を敵視していた2人の子供たちも
次第に彼の訪問を心待ちにするようになり、とても良い雰囲気に・・・。
とうとう、彼は事実を打ち明けようと決心しますが・・・。

グレッグが彼の身代わりで死んでしまったのみならず、
彼のいるべき温かな家庭の中心に自分がいる、そういうことに、ひどく罪悪感を感じるのでしょう。
その思いがひしひしと伝わってきます。
だから、彼は初め思わず手助けをしてしまったのですが、
あくまでも距離を置こうとする。
でも、その時に、アビーのほうが彼に好意を感じ、接近してきてしまうのですね。
この皮肉。
こういう微妙な気持ちのすれ違いが、結構スリリングで、でも、良くわかる気がしてしまうのです。
初めの方に出てきたバディは、わりと自己チュウの感じであまり好印象がないのです。
でも、事故を経て、罪悪感に駆られ、アル中になり、
そしてアビーたちとふれ合ううちに、彼自身も変わってくる。
子供との付き合いもうまい、いい感じの男性になっていくのですね。
見ているほうもだんだん彼のことが好きになってくる。
・・・意外に拾い物の作品だったと思います。

このバディの仕事の助手役のキャラがすごくステキでした。
結構おせっかいな彼は、
取り次がないでくれと頼まれたアビーの電話をわざわざ取り次いでしまったりする。ちょい役ながら、キーパーソンだったりする、ユニークな人物。
もっと、この人の登場シーンが見たいと思ってしまいました。

2000年/アメリカ/106分
監督:ドン・ルース
出演:ベン・アフレック、グウィネス・バルトロウ、ジョー・モートン、ナターシャ・ヘンストリッジ