映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スラムドッグ$ミリオネア

2009年04月20日 | 映画(さ行)
これぞ生きる力
          * * * * * * * *

クイズ・ミリオネアは万国共通なんですね。
インド版ミリオネア。
挑戦者はムンバイのスラム出身の青年ジャマール。
全く無学のはずの彼が、次々と正解を出し、
とうとうあと一問で2000万ルピーを獲得というところまで漕ぎつける。
ところが、この番組のホストが、これを面白く思わない。
不正をして正解を得たとして警察に連絡。
ジャマールは拷問まで受けてしまう!


そもそも、このミリオネアの仕組み自体が緊張感ありますよね。
その緊張感とあわせて語られる、ジャマールのこれまでの波乱に満ちた人生。
全く目が離せない展開です。
しかし、好きで冒険に富んだ人生を歩んだわけではありません。
インドという国の混沌。
その渦に巻き込まれ、親も住む家もなくし、
兄サリームと、同様に親をなくした少女ラティカ、
3人で肩を寄せ合ってどんなことをしても生きてゆく他なかった。
そんな中で、見聞きした様々な知識が運命的にクイズに出題されている。

こんな悲惨な生い立ちではありながら、
この子どもたちのなんと生命力に満ちていることか。
日本の教育が今目指している「生きる力」。
・・・笑っちゃいますね。
それはやはり学校で身に付けるものではないのだろうと思います。
こんな過保護のもとで付けられる「生きる力」って、どんなもんでしょう・・・?

格差といえばこのインドも、スラムの横に立ち並ぶ高層ビル。
相当根が深そうですが、それでも、さほど悲惨な感じがしない。
どんなことをしたって生きていける。
そういうたくましさが根っこにあって、
映画全体がエネルギーに満ちています。
特に、経済の落ち込みにあえぐ欧米・日本・・・、
こういう人々にとっては、何か失くしたものを見つけたような気がして、
心打たれるのでしょうね。
アカデミー賞最多部門受賞もうなずけます。

兄サリームは決断力あり、度胸もあって、
このままいけば良くも悪くも相当なところまで行ったと思われます・・・。
ラティカは美しいですねえ・・・。
子役の子もすっごくかわいかった!
ほとんど淡々と無表情のジャマールもまた、いい味出してました。
インドの人って、目鼻立ちがくっきりしていて、ステキ。
クイズのホストは、正解の結果を出すまでに、
もっと溜めた方がいいですね。
みのさんはやっぱりすごい・・・。

2008年/イギリス・インド/120分
監督:ダニー・ボイル
出演:デブ・パテル、アニル・カプール、イルファン・カーン、マドゥル・ミッタル

フランス版ミリオネアもあります→「ぼくの大切なともだち」

映画『スラムドッグ$ミリオネア』