鴨川ホルモー (角川文庫) 万城目 学 角川グループパブリッシング このアイテムの詳細を見る |
京都。学生。サークル。
・・・ときたらやはり、森見登美彦を思い出してしまいます。
この作品を読み始めて、どうもそこに引っかかってしまって、
これはその亜流なのか・・・とやや、がっかりしてしまいました。
しかし、読み進むうち、「吉田代替りの儀」に及んでは、ぷっと吹き出してしまいました。
女人禁制の場で、彼らが踊る奉納の舞とは・・・。
この本は、まもなく映画が公開されますね。
全然、見たいとは思っていなかったのですが、
このシーンは見てみたいかも・・・なーんて、思ってしまいました。
ともかく、これはへんてこなストーリーです。
彼らの入ったサークルは、京大青竜会。
しかし、一体何をするためのサークルなのやら、入っていながらも良く分からない。
次第に見えてくるその全貌は・・・
京都に千年続く「オニ」を操る摩訶不思議なバトル。
その名も「ホルモー」。
まあ、ファンタジーの類ですが、
奇想天外のそのディテールが、なにやら楽しいです。
映画となればCGアニメたっぷりとなるのでしょうね。
この、表紙のカットにあるように、
なぜか突然チョンマゲ男子登場のナゾも、読んでいくうちに分かります。
この、奇想と、純情なラブストーリーが絡み、大変楽しい物語。
まあ、あっけらかんと楽しむのには良いでしょう。
ここには、すごく好きな相手は別の相手を思っていて・・・という
いくつかの報われない恋の連鎖が描かれています。
でも、私が思うに、こういうときって、
その人がいつもある人の姿を視線で追っている、
ということに気づくものじゃないかなあ・・・。
だから、このストーリーで、それぞれそういうことに気づいていないのは
ちょっと不自然に思いました。
「忍ぶれど色に出にけり・・・」というのはあると思うなあ・・・。
古都京都。
まあ、こんな不思議があってもおかしくない気がしてしまうのが、
やっぱり北海道ではかなわないところです・・・。
満足度★★★★☆(気持ち的には3.5)