さてと、たっぷり、フジタを予習したところで絵の鑑賞と行きましょうか。
札幌の道立近代美術館です。
この、フジタの写真、知らない人が見たらコメディアンかと思っちゃいますね。
その特異な風貌でも、パリで目立っていたのでしょうね。
本人の話によると、貧乏時時代、床屋にいけなくて、自分で髪を切ったらこうなった、ということですよ・・・。
へー。じゃ、エーと、質問です!
藤田嗣治とか、レオナルド・フジタとか、いろいろ呼び方があるみたいなんだけど、なぜ?
つまりですね、藤田嗣治は本名、というか、日本名ですね。
レオナルドは、英語読み。
レオナールがフランス読み、ということなんじゃないかな???
藤田は1959年にカトリックの洗礼を受けて、このときにレオナール・フジタと改名しております。
なるほど、フランス人なんだからフランス読みすべきなんでしょうね、やはり。
彼の作品はしばし、「すばらしき乳白色」と絶賛されるということですが・・・。
はい、裸婦像のその肌の色合いなんですね。
このたび間近で見たのでよくわかるけれど、油彩なんだけど、すごく薄いですね。
よくごってりと絵の具が盛り上がった絵があるけど、それとはぜんぜんちがう。
なんだかやわらかくて、触ってみたいような感じのする、肌だなあ・・・。
その色を出す技法は、フジタは誰にも教えなかったので、未だにわからないそうですよ。・・・科学的には分析されているようですが。
私は、足元に猫がいて、のけぞる感じで仰向けに寝ている裸婦像が好きだなあ・・・。金色の髪がベッドの下のほうに波打って流れている。このリラックスした感じ。
「構図」と「闘争」の大作も迫力がありましたね。
そのための下絵の一つ一つも、すごいと思いました。
こういうのも、男性モデルを使うんだよね・・・。
そ、そうだと思うけど・・・。
マッチョな人をさがすんだろうなあと思って。ヌードだし、女性モデルよりさがすの大変そう・・・。
なに考えてんだか・・・。それはともかく、このマッチョな男性の筋肉の描き方は、やはり日本画を思わせる部分がありますね。
そうそう、中に仁王様を思わせるものもあった。
それから、カトリック洗礼後の宗教画も、すごくいいですね。
三人の女性を描いた「花の洗礼」はすごくいい。
女性好みではありますがね。
この、優しい淡い色使いはやはり日本人のセンスだなあ・・・。
これは思わず、絵葉書を買っちゃいました!
最晩年には、自ら教会を設計して建てて、壁画やステンドグラスも作っちゃった。
壁画を完済させて、まもなく亡くなったということですよ。
レオナルド・ダ・ヴィンチを意識したと思われる「最後の晩餐」の場面もありますね。
それで、画家生命を燃やし尽くしたんですねえ・・・。
ぜひ行って実際にみたい気がします。
現地で見るそれはまた特別な感慨がありそうな気がする・・・。
彼の作品には猫もたくさん出てきますね。
そうなんです。猫好きにはたまりません。
私は「猫(闘争)」というのが好きです。
たくさんの猫が飛んだりはねたり、すごい躍動感で、ただかわいいだけじゃない、猫の野生が良く表わされている。
フジタの猫の絵ばかりを集めた画文集も出ていて、実は私はそれを持っている。えっへん。
エーと、それで、結構マジに解説を読んで回ったんだけど、予習したような、戦争画についてはふれていなかったなあ・・・。
うん、まあ、絵の評価とは直線関係ない話ではあるけどね・・・。
実際、そういう絵は残っていないの?
終戦後GHQが押収してアメリカにもっていかれちゃって、
でも、今は「無期限貸与」という形で東京国立近代美術館にあるそうだよ。
でも、一般公開はされていないらしい。
どうも当時のことは、みんなほじくりたくないらしくて、ひっそり隠してあるという感じだなあ。みなさん、たたけばホコリの出る体・・・。
う~ん、でもフジタの戦争画なんて、見たいような見たくもないような・・・って、複雑なところだね。
とりあえずは、このような大きな展覧会が開かれることになって、フジタの知名度も少しは上るでしょう。
戦争画のうんぬんかんぬんも、もうこだわる人もいなくなってるということだね。
というか、今の日本の美術界は、あえてそれには触れず、純粋に絵を楽しんでもらうことにした、ということなんでしょう。それは正しい選択ではあるよ。
もし、さらに興味があれば、彼の生涯についても調べてみてね・・・というくらいのところかな。
全く余談ですが、美術館は冷房効きすぎなんで、上着をお忘れなく!!