ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

Netflix『ペーパーハウス』あぁ、もうすぐ終わる!

2021-12-19 14:28:30 | 映画

 終わったら書こう、最後のシーンを見届けてから一気に激賞をぶち上げよう!って、じっと我慢をしてきたんだ。そう、1カ月近くになる。

 シーズン5まで来たからなぁ、1シーズン8話として40話!続きを見たいの、ぐっと堪えて毎晩1話ずつ見続けて来た。今だから白状するが、公演前日のゲネの夜も本番はねて打ち上げから帰った晩も、PCモニターの前に座れば『ペーパーハウス』だった。

 話は銀行強盗もの、あるいは秘宝強奪ストーリーだ。実にありきたり、最近もジジイたちの強盗の映画に付き合ったところだ。事前の準備とかにはたっぷり時間かけているのは当然として、いざ決行となれば、もうこれは時間の勝負だろう。いかに短時間に奪い取り、逃走するかが見せ場だよな。

 ところが、この常識を見事に打ち破ったのが『ペーパーハウス』だ。標的に突入した強盗団は逃げない!敢えて立てこもり、時間を稼ぐ。粘れば粘るほど、強奪額は天文学的数字に押し上げがって行くんだ。だってなぁ、占拠したのは造幣局なんだから(シーズン1,2)。人質に取った職員を使って新札を刷りまくる。3日、4日、籠城すればするほど彼らの稼ぎは大きくなる。シーズ3~5の標的は国家(スペイン)銀行の金塊だ。大量の延べ棒を運び出すために金庫内に溶接施設を設けすべて粒状に加工する。これまた時間が必要だ。

 なっ、ありきたりを軽く超えてるだろ。

 設定だけじゃないぜ、驚天動地の荒唐無稽は。ネタバレになるから詳しくは書きたくないが、主犯格の教授は外から指示を出し、警察との交渉にもあたる。これも斬新だが、その仕掛けが思ってもみない展開を生み出す。丁々発止する交渉人の女性警部との知的でスリリングなやり取りも見ものなんだが、なんと二人がリアルに出会い、信頼を深め、ついには・・・さらに、とうとう・・・うぅっ、喋ってしまいたい!

 現場もだぜ、予想外の展開は。そりゃ籠城が長く成りゃエピソードも生まれるさ。ただ、その一つ一つが一筋縄じゃいかないしたたかさを持ってるんだ。向こう見ずな娘とか、他人をけしかけるばかりの上司とか人質もなかなかのもんだ。お定まり、立てこもり犯と人質とが心を通わせる、ストックホルムシンドロームってやつな。その惹かれ合う二人が、不倫相手の子ども身籠る秘書!と心優しき乱暴者、こういう取り合わせ、よく考えるもんだよなぁ。しかも、ついには・・・さらに、とうとう・・・!

 襲撃犯それぞれに愛しく切ない物語が準備されているのは言うまでもない。その一つ一つが実に巧みに紡ぎ出され織りなされて行く。もちろん手に汗のスリリングなシーンも矢継ぎ早だ。1エピソードの中に必ず3っつは見せ場あり、1時間足らずでだ。息つく暇なくひたすら展開を追い続けることになる。もう、いいように引き回されているんだが、驚きの発想、あり得ない展開の連続でもまったく苦にならない。もうすべてお任せで、犯人たちに同化する。連続する途方もなさ、予想を裏切る八方破れ、それらも丁寧に伏線張られてるから、そんなバカなぁ!ウソだろ!などとしらけたりしない。ここがほんと、お見事!

 作品の魅力、分析し始めたら、それだけで分厚い1冊が仕上があるよ。もう、これいい!ここかっこいいい!すげぇぇぇぇ!の連続だから。敢えて一つ、犯罪者たちに肩入れしてしまう理由、その一番は愛なんだよな。異性、同性を問わず、激しく、優しく、忍んで、耐えて、幾つもの真実の愛が描き出される。ちゃちな恋物語じゃないぜ。恋愛ストーリーが嫌いな俺が惹かれるんだから本物だよ。

 さらにぐっとくるのが、それら個々人の愛を繋ぐ仲間の絆だ。この略奪計画に集まっただけの一癖も二癖もある者たち、本名も知ることなく都市名を付けて呼び合う関係が、行動を重ねるごとにお互いの中に唯一無二の者として刻み付けられていく。仲間のために死をも厭わぬ行動。この無償の愛を見せつける数々のシーンがこの作品を支えている。崇高なものにしている。仲間・ナイロビが殺されたとき、そして、その葬送の儀式!描き方は尋常じゃない。

 も一つ上げるなら、殺さぬ、ことへのこだわりの深さだろう。彼らの決行は市民の賞賛の的になり、支持者たちが常に銀行を取り巻いている。これも大切な要素だ。

 なぜなら、社会の負け犬たち、ならず者、チンピラ、ドラック密売人、ギャングの息子、捨てられた不倫女、弾き出された警察官、同性愛者、が、社会の理不尽を一気に覆す物語だからだ。弱者を描いて共感を得る、まさしくNeflix 映画の王道なんだぜ。

 

 

 


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