ステージおきたま

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警察小説は大変だ!『虎狼の血』柚月裕子

2020-12-19 10:56:52 | 本と雑誌

 Netflixで映画見てばかりじゃないぜ。本だって読んでるからな。って、威張るなよ、遅々として進まんくせに。ベースは大正・昭和の歴史、次回台本の下調べって意味もあるし、今、こういう時代だから、ここはしっかり知っておきたい、ってちょっぴり怠け心に鞭打ってね。ただ、ずっと固い歴史本ばかりなんて柔な俺には無理なので、時折、小説とか台本とかにちょっかい出す。

 たまには警察小説なんてのもいいかな?そうだ、柚月裕子って山形に住んでるんだよな、1冊くらい読んでおいてもいいか。『虎狼の血』、彼女の作品の中でもかなり評価が高いようだし、映画化されたってことだから、まっ、お目見え本としちゃ無難だろう。

 上手な人だなぁ!ジッポのライターとか、覚書の行削除とか、うーん、なるほどそう来たか!って手を幾つも打ってくる。ラストのおさめ方なんかも、時空を飛び越えてエピローグ、なんてのも憎いぜ。

 と、幾つか唸らせてもらったんだけど、どうもなぁ、やさぐれアウトローの刑事と生真面目新米刑事コンビとか、やさぐれを慕う居酒屋の女将、とかって、見たことあんぞ、どっかで読んだぞ、って既視感付きまとって、途中から身が引けてきちまった。それと、作品を支える二つの秘密、これ、最初から見切れてるもの。終章での種明かしが、おっとそう来たか!のびっくりぽんにはつながらなかった。

 で、つくづく思ったのは、警察小説って大変だぁってこと。映画も小説もたくさん作られてるからな。それ見たことある、とか、その手はもう古い、とか、読者の小生意気な批評をかわすのって容易じゃないぜ。特に、こういう正攻法のものは、出尽くしてる感が強い。そのありきたりを超えるために、科捜研にしてみたり、地検の女にしたり、女子高生デカ登場させたり、目先を変えて苦労しているわけだ。

 そういう競争相手ひしめく中に割って入ろうっていう、柚月さんの気迫凄い、って思う。と、同時に、ある種定型の小説に寄って来る人たちって、少なくないだなって感じた。まぁ、それはそれでいいんだ。あれやこれや、知り過ぎちまってるってのが不幸せってことさ、って偉そうに。いやいや、そうは敗北を認めまい。こんな知ったかぶりジジイを楽しませてくれる小説も映画も、これからまだまだ出て来るさ、絶対。

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