風邪の上手なひき方 ”背骨で呼吸する”ということ 2015・10・26
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先回に引き続いて風邪の効用について・
先回述べたように、風邪は体の柔軟性を取り戻し、
本来の健康に戻す治療法だと野口氏は、言う。
風邪は人それぞれ、どういう時にひくか興味深い記述を残している。
誰でも その人特有の考え方や、偏狭性のある体の詰まり
や凝りをもっているものだが、それは心の持ちようのほかに、
具体的な毎日の体の使い方の習慣性もあるようだ。
いつも背骨を曲げている人、立ったまま長時間仕事する人、
手先に全神経を張る人、利き手だけ良く使う人、などなど。
野口氏はこういう。
”頭を使いすぎて頭が疲れても風邪をひく。
消化器に余分な負担をかけた後でも風邪を引く。
腎臓の働きを余分にした後でも風邪を引く。
とにかく、体のどこかに偏り(かたより)の運動があり、
働かせすぎたところができると、風邪を引く。
だからお酒を飲み過ぎて絶えず、肝臓を腫らしている人
は肝臓系統の風邪をひく。
普段余分に栄養物を取って腎臓を腫らしている人は
腎臓系統の風邪を引く。
しょっちゅう心配している人は神経系統の風邪を引く。“
でも、風邪を引いた後、上手に経過した人は、それらの
凝りが解けて、体に柔軟性を取り戻す。
風邪をひくと、下痢を良くする人もいる。
過剰な心配はご無用だ。下痢は、自然治癒力による、浄化作用だ。
アートマセラピーの施術後、体が急激に解け 帰りの電車でお腹が
痛くなって、何度か途中下車してトイレに駆け込んだという方は、
野口氏も同様のことを述べている。
“風邪とか下痢とかいうのは、われわれの考えた中では
一番、体を保つのに重要、というよりは、軽いうちに何度もやると
丈夫になる体の働き”
としたうえで、
“風邪と下痢の処理ということが、無理なく行われるか、
行われないかが、その体を健康で新しいまま保つか、どこかを
こわばらせ、弾力を欠いた体にしてしまうかの境になる。”
と述べている。
風邪の経過といっても、知らずに上手に経過している人
は多いような気もする。
朝がた、急に温度が変わり、道を歩く人が何度も立て続けに
くしゃみをしている。
数えてみると、続けて、5回はしている。
花粉症だからという理由があるかもしれない。
でも、こうして、’くしゃみと’で、胸の偏りが、だいぶ、ほぐれている。
整体の創始者、野口氏はどのようにして風邪を経過させたのだろう?
次ように述べている。
“私自身の風邪に対する処理方法は極めて簡単です。 背骨で息をする。”
背骨で息?
唐突な表現のように聞こえるが、瞑想でも、背骨で息をする瞑想がある。
私はこれを想いだした。
“背骨で息をするというのは、息をずーっと背骨に吸い込む、
吸いこんで背骨が伸びて、反り返ってくる。
反りきりと、背骨に少し汗が出てくる。
その間は2分か3分くらいです。
汗が出たら、ちょっと体をひねってそれで終える。”
と、野口氏は書いている。
慣れて来ると、背骨に呼吸を通すことで、気が流れて行く
のを感じるようになる。
整体では、背骨の歪みに気を流して、体の悪い箇所を治療するのだが、
“通りの悪い所があれば、人に押さえてもらう。”と野口氏は言う。
この方法で40年間ご自分の体を整えてきたというのだから、
背骨で呼吸することを、試みたいと思った。
“上手になれば、背骨で呼吸して、一度か二度、通せば、毎日の健康法
になる。”とも言う。
こうして風邪を上手に経過させる。
“そうすれば、難病を治せる”と言い、癌でさえ、風邪を上手に
経過させれれば、治ると野口氏は、明言する。
“癌に風邪の細菌をつけたら、癌がなくなってしまった。”という
説が一時出たらしいが、それほど、風邪を上手にひくことが
体を柔軟に健康に保つ特効薬だと野口は言うのである。
具体的にどのように整体するかということにも提言している。。
簡単にご紹介したい。
1・前かがみになりがちな人が、風邪を引いた場合
~喉と鼻の間から引いた風邪(鼻風邪、そして喉に行く)
胸椎5番、つまり、首を下げると飛び出す背骨から
数えて5つ下がったところにある骨で、肩甲骨が一番
左右寄っている箇所の下にあたるところ、に気を流す。
因みに前かがみになりやすい人は腰椎(ようつい)一番、
(体をそらせるときに一番大きく動く骨)の動きが
悪い人なので、意識して伸ばすようにしよう。
上手に風邪を引くということは、胸椎5番の回復を待つこと。
待たないで無理に体を使うと、気管に風邪は食い下がって
いく可能性がある。
そうすると、咳が出始める。
特に体を横にすると、胸椎5番が引っ張られて、余計咳こんだりする。
‘風邪が悪くなった’と想いがちだが、それは風邪の経過の
一つとしてみるべきだ。
肩が前に出て前屈する人が呼吸器系の病気になりやすい人も、
こうした風邪の経過を上手に過ごして、胸や腰が解けるのを
繰り返すうちに、体質改善になるのだと思われる。
よく、肺炎を起こすと怖いから風邪を早めに対処させると
いうことで抗生剤を飲んで、症状を抑えることがある。
しかし、こうして野口氏の生体論、整体の手法を読むと、
私が日ごろ感じているように、風邪をこじらせるというのは、
ヴィールスのみの原因ではないように思える。
胸椎5番が縮む、あるいは、凝る。
それを解く前に、体が無理をすると、胸椎5番のみならず、
胸椎3番や4番にも影響が出てくる。
弾力性が失われてくると、こわばり、肺の病気にかかりやすくなる
というのだ。
ましてや抗生剤の服用で、胸椎5番を緩めようとしている体の
自然治癒力を抑えてしまうと、そうした可能性が減るというより
3番4番の緩めようとする働きさえも妨げるようだ。
“前屈習性の人で胸椎5番が飛び出し、三番、4番という骨が硬く
張ってきたら、この風邪は長引く、面倒だと見なくてはならない。
5番のみなら、簡単である。”
簡単であるというのは、先に述べた腰椎1番を解き、そこが緩んで
動きが出れば、治っているからだ。
“ただ、胸椎3番4番に異常の在る人でも、腰椎(ようつい)一番が治れば、
やはり治っていく”
ということなので、風邪を予防するために、セラピーでは腰を
よく解くのも、こうした意味合いがあることを 整体施術法を
知って納得したところである。
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