自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

トラを征服したスワミの話(下)

2014年08月30日 | 健康と”悟り”・スピリチュアリズム

聖者の予言が成就した  2014・8・30

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西ベンガル州 クーチビハ―ルの宮殿

 

前回のお話しの続き・・・・

さて、これ以上トラと闘うと カルマの法則で トラ達の怨念が災いを

もたらすから今の生活を改めなさいという、聖者の言葉を父の口から

聞かされたスワミ。

しかし、

”父の警告を受けて間もなく、私は、クーチ・ぺハールの首都を訪ねた。

絵のように美しいこの町は私にとっては初めての土地で私はここで

気分転換をして休養するつもりだった。

ところが、例によって、ここでも物見高い群衆が道を行く私の後ろから

ぞろぞろついて来た。 

彼らは私をみてささやき合っていた。


’これがトラと格闘する男だそうだ’

’あれでも脚かね、まるで木の幹ではないか!’

’あの顔を見ろよ。あの男はきっとトラの王様の生まれ変わりに

違いない!”

子どもたちは、どこでも号外のような役目をする。

それに女たちのおしゃべりも手伝って、2.3時間のうちに、

町中が私の出現で興奮のるつぼと化してしまった。”

 

こうして町中がスワミの到着の話で持ちきりになった日の夕方、

とうとう、その国[須田注:当時は王侯(ラジャ)たちが管轄する

大小の国が集まってインドという国家が成立していた]を治める皇太子の

代理が訪れ、翌日、宮中にスワミを招きたいと語る。


その時、スワミは直観する。

”一瞬、わたしは、何かが起こりそうな予感がした。

そして、静養のつもりだったこの旅を邪魔されたくないと思った。”

しかし、翌日、護衛付きの4頭立ての馬車が迎えにきて、皇太子自ら、

スワミを迎え入れた宮殿の一室で、会食会が始まった。

 

そこで 皇太子はスワミにこのように話しかけた。

”今、私の街ではあなたが素手で野生のトラと闘うことができる

という噂で持ちきりですが、それは本当か?”

本当だとスワミが答えると、

”私には信じられない。

あなたはカルカッタの街に住んで毎日、白米を食べているふつう

の都会人にお見受けする。

あなたが今まで戦ったというトラたちは、実は阿片[麻薬]で骨抜きに

されたトラだったのだろう・・”


さらに、皇太子は

”私が最近生け捕りにした、ラージャ・ベーガムと闘っていただこう。

もし、あのトラの攻撃くい止め、トラを鎖でつなぎ、気を失ったり

せず、自力で檻(おり)から出てこれたら、そのトラを汝に進呈しよう。

そして、多くの褒美と賞金をだそう。

けれども、この戦いに負けたら、いかさま師ということで、国中に

ふれわたらせよう。”


 こうして一週間後の試合が設定された。

まるで”キリスト教徒を猛獣の檻に入れて見物した残忍なローマの

皇帝”のようだと 皇太子に対して、スワミは思った。

”それから一週間、私が来たるべき試合に備えて、心と体の調子を

整えて待っていた。”

 

同時に スワミに仕えていた下男が、その町の噂を聞いて伝えた。

それによると、トラは神々に呪われた悪霊の生まれ変わりで、スワミの

高慢な鼻を、”へし折る”ために闘う~という話だった。


もう一つは、

虎の守り神に 多くのトラたちが願いをかけている、それは

人間の分際(ぶんざい)で 虎族に挑戦し、侮辱を重ねてきた

スワミを罰するために ラージャ・ベーガムが遣わされた”

という噂だった。

 

これはスワミに、当然、父が警告した”カルマの法則”に基づく

聖者の予言、つまり、’次回の試合には大きな怪我を負うことで 

スワミは、僧侶になるだろう’ という 予言を思い起こさせた。

当時、父からそれを聴いたとき、一笑に付したスワミだったが・・・。

 

試合の準備は着々と進んでいた。

数千人を収容する観覧席をあつらえた会場、皇太子自ら先頭にたって

この試合の準備を薦めていた。

 

当日が来た。

”中央にラージャ・ベーガムをいれた巨大な鉄の檻を置き、その周囲

に厳重な柵を張り巡らした場所”が闘いの場になっていた。


怒りと食欲を煽るために、トラには少ししか餌が与えられて

いなかった。

”おそらく皇太子は、私を褒美の餌として このトラに与える

つもりなのだろう”とスワミは思った。

 

試合の様子は、スワミの口から語ってもらおう:

はらわたを引き裂くようなラージャ・ベーガムの咆哮と半ば恐怖に

襲われている観衆のどよめきの中を、私は静かに登場した。

身に着けていたものといえば、腰に巻いたわずかな布だけだった。

 

私が柵のかんぬきを外して中に入り、後ろ手でそれを静かにかけ

なおすと、血に飢えたラージャ・ベーカムはすさまじい勢いで

檻の鉄格子にとびかかり、私に恐ろしい歓迎のあいさつをした。


観衆は心配と恐ろしさのあまり、しんと静まり返ってしまった。

おそらく、私が猛獣の前の置かれたみじめな子羊のように見えた

のだろう。私はためらわずに、檻の中に入って行った。

 

私が檻の戸を閉めると同時に、ラージャ・ベーガムは猛然と私に

とびかかってきた。

そして、あっという間に、私の右手を引き裂いて使い物にならなく

してしまった。

虎の最高の御馳走である、人間の生血が、その傷口からだらだらと

流れおちた。 

それはちょうど、あの聖者の予言が着々と成就していくのを暗示

しているように見えた。


しかし、私は、すぐに今までに経験したことがなかったこの強烈な

ショックから立ち直った。 

血まみれの右手を腰布の下に押し当てて、自分の視野から追い払うと、

左腕を大きく一振りして骨まで砕けよとばかり、虎に一撃をくらわせた。

トラは一瞬よろめいて、ふらふらと檻の後ろの方に後退したが

またもや死にもの狂いの勢いでとびかかってきた。

私はその頭に自慢の鉄拳の雨を降らせた。”

こうした模様をスワミは 高校生のヨガナンダ師に話す。

 

”文字通り ’血だるまの死闘’であり、たけり狂うラージャ・ベーガム

は、苦痛の呻きが聞こえ始め、気力を失い始め、観衆は”虎を撃ち殺せ”

と興奮の渦に叫んだ。” 

 

猟銃を持った隊の弾も、結局トラには命中せず、その間、なおも、

相手に猛打を浴びせ続け最後の意思を、終結した一撃を食らわせる

と、トラは”ついに倒れて動かなくなった。

 

そこでスワミは皇太子の命令どおり、床の上の一連の鎖で、トラの

首をしばり 檻の鉄格子につないで戸口に出て行こうとした。

その瞬間、気が萎えたと見えていた、ラージャ・ベーガムは名前の

とおり、ラージャ(王)の風格で、渾身の力をしぼって起きた。


そして、いきなり巻かれた鎖を引きちぎり、スワミの背中めがけて

襲い掛かってきた。

”私は肩をかまれて、その場にどうと倒れてしまった。

だがすぐに飛び起きると、トラを組み伏せて、その頭に容赦なく

鉄拳を浴びせた。

とうとう、トラは本当に気を失ってしまった。

私は今度は前よりも用心して、トラを縛り付けゆっくりと檻を出た。”

 

しかし、この勝利はスワミに思いがけない、霊的変化をもたらした。

”私が最後に檻の扉を閉めたとき、私の世俗的野心の扉も同時に

閉められたようだった。”と ヨガナンダ師に語ったのだ。


そして スワミの父の口を通して語られた聖者の予言は成就した。

スワミはその後賞金と賞品、闘ったトラを褒美として皇太子から

与えられたが、心を喜ばすものではなかった。

スワミは語る:

”身心の苦悶に満ちた日がそれから始まった。

私は傷がもとで、敗血症にかかり、6か月の間、瀕死の病床に

横たわった。”

 

やっと起き上がれるようになったスワミは故郷に向かう。

そして、父に赦しを乞う。

さらに あの予言を残して去った聖者と再会したいという祈りを

込めて、願いをかけていると、

”虎退治はもうたくさんだろう”

と聖者は、突然スワミの前に姿を現わしたのだった。


そして、 時は来たとばかりに、スワミを自分の弟子として

向かい入れたのだ。

私と一緒に来なさい。今度は私が 心のジャングルをうろつく、

無智というトラを退治する方法を教えてやろう。’

 

多くの見物人に取り囲まれて トラを素手で打ち負かしては

賞賛を得ていたスワミは 師を見つけて、そのイニシエーション

を受けて、自分の心のジャングルに住む”無智というトラ”を退治

するために 新しい生活に入った。


虎と群衆に囲まれる生活より、 多くの天使に囲まれる生活を選んだという

ことだった。

         

 西ベンガル州にある クーチべハールの所在地

 

引用箇所: ”あるヨギの自叙伝” パラマハンサ・ヨガナンダ 著、 森北出版、、1983

 

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