自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

ガンジス河と三蔵法師と仏教経典  

2014年12月31日 | 神秘と神の大地”インドの香り”

最大のヒンズー教の祭礼行事   2014・12・31

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もう今年もカウントダウンに入った。

正月を迎えるために大掃除や禊ぎなどをし、心身潔白に保つのは

日本人の文化のひとつかもしれない。


同様に、インドでの禊ぎといえば、ガンジス河に朝陽を浴びて

頭からつま先まで入ることで、罪が流されると信じられている。

そうした考えが基調となる最大の宗教行事の一つがクンバメラ

と呼ばれるお祭りだろう。

 

筆者は"癒しの森"主宰者のM.Nさんとクンバメラに行ったことがある。

大勢の信者たちや聖者がガンジス川の周りにひしめいて 行者たちの

長い行列を見送った思い出がある。

そのあとガンジス川で沐浴をした。

この祭りは古代からインドに伝わる宗教的祭典である。

聖なる土地、ハリドワール、アラハバード、ナシク、ウジェイン、の順に

三年毎に行われる。

 

ところで、ヨガナンダ師は1936年1月23日、アラハバードで行われた

クンバメラに出かけている。

その様子が興味深く、自著に記されている。


“200万の大群集はまさに言語に絶する壮観だった。

インドの国民には、どんなは日な田舎者にも、魂の価値や

俗世の絆を断ち切って魂のよりどころを求める僧侶や行者に対して、

生まれながらに敬意をいだく独特の気風がある。


確かに彼らの中にはいかさま師や偽善者もいる。

だがインドでは、この国に絶えず天の祝福をもたらしてくれる

ごく少数の真の聖者のために彼らのすべてを尊敬しているのだ。

 

最初の日は、ただもの珍しさに眼を見張りながら歩き回った。

何千人とうい人々が聖なrガンジス川の水に浸って罪の穢れを洗い、

清めている。


バラモンの僧侶たちは恭しく、礼拝の儀式を行っている、

沈黙のまま座っている隠者たちの足元には、捧げ物が

散らばっている。


像や美しく飾り付けた馬や、もったいぶった足取りのラクダが、

ぞろぞろと列をなして、進んでいくかと思うと、そのあとから、

金銀の錫杖や絹のビロードの上りを掲げた裸の行者たちの

風変わりな行列が続いて行く。“


腰布だけを身に着けて、静かに座っている小さな隠者の

一団もあった。

彼らは厚さや寒さをしのぐため、体に灰を塗り、額の中央には

霊眼を象徴して、白檀の練粉でくっきりと印をつけていた。


黄褐色の僧衣をまとい、竹の杖と度圧の椀を持った剃髪の

スワミ達の数は何千人とも知れなかった。


道行く彼らの顔にも、弟子たちと哲学的議論をまじわしている顔にも、

俗世を離れた物の静かな落ち着いた喜びが輝いている。


あちこちの樹の下には、安打神をとぐろに巻いて、頭の上に乗せている

行者たちが、かがり火を囲んで、座っている絵のような光景も見られた。


その中には長さ一メートル以上もあるひげを生やし、それを縮らせて

こぶのように結んでいるものもいる。


彼らは静かに瞑想したり、道行く群衆に祝福の手を差し伸べたりしていた。

乞食も通れば、象にのった マハラジャもいた。

派手なサリーまとって腕ワや足首飾りをチリンチリンと鳴らして歩いて行く

婦人たちも通れば、痩せた腕を高く頃テスクに掲げている托鉢僧や

瞑想用のひじつきを抱えている修行僧、内なる至福をしかつめらしい顔に

押し隠している謙遜な賢者たちも通っていく。


そして、それらの騒音を超えてひときわ高く、寺院の金が祭りの気分を

もりあげるように、ひっきりなしに鳴り響いていた。“(引用終わり)

 

筆者が10数年前に訪れたときと 半世紀も前のクンバメラの光景と

さして、変わっていないのが印象的だった。

インドでは まさしく、時が悠長に流れているのである。

 

さて、こうしたクンバメラの騒々しさから離れた庵にすむ聖者がいた。

スワミ・クリシュナナンダと呼ばれていた。

ヨガナンダ師はこの聖者を訪問する。

引用する。

クリシュナナンダは血色の好い、立派な容貌とひときわ盛り上がった

肩を持つスワミでその足元には よくてなずけられた、メスのライオン

(須田注;」ベンガルトラの事か?)が寄り添っていた。


このジャングルの猛獣は、スワミの霊的魅力に屈して肉類を全く食べずに

米飯とミルクを常食にしている。

しかもスワミはこの黄褐色の毛皮を付けた野獣に‘オーム’という

嬌のある唸り声を出すことを覚えこませ、‘猫のような信者’に

してしまった。“(引用終り)

 

ヨガナンダ師はこのスワミに放浪生活についていくつか質問する。

①    あなたは、冬でも他に着物を着ないのですか?

~答え)“着ません。

②    あなたは本をお持ちですか?

~答え)いいえ、人にものを尋ねられた時は記憶の中から答えます

③    ほかにはどんなことをするのですか?

答え)ガンジス川のほとりを散歩します

④    あなたが今お話しくださったことは聖典に在ることでしょうか、

それともあなたご自身の内的体験でしょうか?

~答え)半分は本からのもので、半分は自分で体験したことです。

 

 話が前後するが この質問の前に こんな会話を

同スワミはしている。


“わたし(スワミ)は物質的執着を断っている。

衣類の心配をすることなく食欲に駆られることはない。

料理された食べ物は一日おきに口にするだけだ。

物乞いもしなければ托鉢にも歩かない。


金銭のわずらわしさから解放されていて、銭も扱わなければ物

をたくわえることもなく、必要なものは常に神にゆだねている。


車に乗ることもなく、乗り物の心配もない。

執着を生じるのを避けるため、決して一か所に一週間以上とどまること

はない”(引用終り)

 

こうした聖者に匹敵する行者が多く参加するクンバメラは、

孫悟空が主人公の西遊記に出てくる、三蔵法師もご存知だったとみえる

三蔵法師は実在の人物である。


一方、クンバメラの歴史は古く、古代のマハバラータ物語にも登場する。

クンバメラと三蔵法師の間の接点が意外なところにあった。


中国からインドに向けて聖典を手にするために向かった三蔵法師は

紀元644年アラハバードで行われたクンバメラについて、書き

残している。


インド各地を旅行したことは知られているが、北部インドに行った際、

その王ハルシャはクンバメラで5年間の歳月貯めた財宝を

僧侶と巡礼者たちに喜捨した。


三蔵法師にも財宝を喜捨することを望んだハルシャ王の申し出を断り、

その代りに 法師が望んだのが宗教書の写本であったという。

それは657冊の経典であった。

 

こうして中国にインドから価値ある経典を持ち帰った三蔵法師であり、

其の後 朝鮮半島を経て日本に仏教が伝来し、これらの教典も

日本で読まれることができるようになった。


仏教伝来の背景と 太古からのインドの最大のお祭り、クンバメラを

訪れた三蔵法師の接点を考えると、とても興味深く覚える。

 

 

 

 

 

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