自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

父と夫:永眠までの過程(改訂版)

2023年01月13日 | 介護と自然治癒力

2007年6月、父は飲料摂取が不能になり点滴入院したが、

その後、癌を宣告された。


それまでは、血尿が出るほど腎臓が悪いときがあったが、

アートマセラピーをひとつき、試みて、その後、検査入院
では、医師が驚くほどの回復の数値データを残した。

自然治癒力で、薬もとらず、結石まで取れて、その後も

良好だった。


が、私の献身をみとめつつ、叔母にもしもの時、面倒なこと

にならないよう、今後のことを考えて、病院で定期的に診察

を受けていたほうが良いと助言されて、主治医を見つけた

記憶がある。

 

夫も同様だった。

2022年8月、コロナにかかり、新薬を投入。

副作用に”死”とあるのを、あとで、紙面で知った。

そして、それまで、自然治癒力で、歩き、食べ、

自宅療養で、”奇跡”と、ケアマネさんに言われるほどの

回復を見せていた、夫は、骨と皮になって、自宅に

かえってきた。


それでも、デーサービスに時々、通い、その際、施設

での様子の退院後の激変に、主治医を”今つけるべきだ”

と、施設のT社長は、強く薦めてくれて、M医師を

紹介して下さった。


”患者の意図をくみ取って家族と相談したうえで処置を

とる方だから恭代さん、大丈夫。”と 以前、私のセラピーを

受けた体験のある、施設長は、理解を示してくれた。

 

M医師は私や夫の希望を十分くみ取るためにも、

気功の大家だった姑・須田麻沙子の著作、

”ほつれ・つまりが病気の根本原因”という、姑の現場での

治療例を集めた ”文庫本*を読んでくれた。

幸いに、私の夫に対する介護の意向を理解しようと

してくださった。

 

父と夫は、アートマセラピーが功を奏したこと

も共通していた。

先に書いたことと、重複するが、2005年から、父は、

腎不全で国立S病院で治療を受けていた。


私は当時インドに居住していたので、そのことは

一時帰国するまで、知らずにいた。

短期間予定で実家に戻ると家族は父の入院準備をしていた。


”血尿が出たら即入院だ”と医師に言われていて、

実際、すでに、血尿が出始めたという。


”お父さん、私に任せてくれない?”と父に

自然治癒力で快癒できるかもと、打診すると、

父は受諾した。


”おれは、ヤスヨの手当(セラピー)に任すことに

するよ。” 


そういって、予約ベッドを自ら受話器を取って、

その場でキャンセルの電話を担当部署にいれて、

母を驚かせた。

 

それから、約一月間の間、私は毎日、父の体温、尿の量、

色、回数、食餌内容、など、メモにとりながら施術に

専念した。


当時アメリカの大学にいた息子に会うための飛行機切符

は無駄になった。(マイルで得たものなので補填は

効かなかった)


父の症状は、一進一退を繰り返していたが、確実に

螺旋状の階段を上る如く、薄紙をはがすように、良い結果

は出てきた。


父は、セラピー中、黄疸になった。

文字通り、皮膚が黄色くなって、私はこれが重篤になって

はと、文字通り、青くなった。

が、必死で、セラピーを続けると、2日間で黄疸症状は

取れた。


良くなった翌日には、血尿の血の色が異常に濃くなった。

また、或るときは、食餌も細く、水分などの補給に

心を配った。


そうこうして、”悪くなる”いうのは、”良くなる前兆”で

あることが多いということに気が付いた。


セラピー開始後からひと月後、父の血尿はとまり、

食欲は戻り、黄疸も消え、検査入院の結果は、

医師が驚くほどで、以前データで示されていた症状の

数値は平常になっていた。

 

昨年4月から本格的に自宅療養に切り替えた夫の場合

も同様だった。


父の時のように、私は全神経を集中して、彼の身体

を観察し、波動を感じながら、自然治癒力を引き出す

ことにセラピーを施術し、専念した。


夫が2年間、取り続けていた、医局からもらった薬は、

ほぼ、取ることなく、1ヶ月で全面廃棄して、薬なしに

なった

周りが奇跡と驚くほどの回復ぶりを見せたからだ。

三年ぶりに歩き始め、トイレに行き、食欲も増進した。

 

しかし、運命には抗えないという感覚も、父の場合も

夫の時も、味わった。


父の時は、亡くなる半年前だった。

父の食欲が急速に激減し始め、私にセラピーを求めてきた。

その時、なぜか、施術しても無駄だと、感じた。


”お父さん、今回は手が出ない”と正直に答えると 

点滴入院に父は抗わなかった。

夫の場合も、コロナ入院で退院してから亡くなる

までの一か月の間、セラピーの限界を感じていた。

 

父は医師の”がんもどき”(体力ないためにMRI

ほかの精密検査は不可能だった)で癌らしいという

診断の治療に抗がん剤を薦められた。


それまでは、水分補給の点滴入院で精神的には

溌剌していた父も、医師の勧めには逆らわず、

それを同意した。


しかし、抗がん剤投与の翌日、内臓機能が半分に低下した。

医師は驚いて、抗がん剤投与を打ち切った。


それまで、毎日リハビリ室で身体を動かすのを日課にして

いた父が、それからは気力を失い、”俺は癌で死ぬのか。”

とため息をついた。

 

夫の場合も父の時と似ていた。

父は抗がん剤投与の翌日に、生気を失い、夫はコロナ患者

として治験薬である、薬を投与されて生気が奪われたか

のようだった。


退院時、立つことも四肢を動かすこともできない

ほど力が入らず、驚いた。

 

接触者としてコロナにかかって寝込んでいた私に、

医師が退院前に、電話口で私に言った。


”須田さんは、とても、西洋医学処置に反抗的なんです。

食事も一切拒否し、ただ、一日中、2週間近く、

同じ姿勢のままベッドの上です。

自虐行為があってもおかしくない状態です。” 


それを聞くといてもたってもいられなくなった私は、

自分の体力が戻るに合わせて、夫を迎えに病院に

車を飛ばした。

 

夫は帰宅した。

しみじみ”家族はいいね”とほっとしたように呟いた。


そして、深刻そうな私の表情を見て”笑って・・笑って”と

言った。

”笑っているほうがずっと、いいよ”と。

自虐行為や自殺行為の可能性”ありと、入院時の所見に

書かれていた??とんでもない!


夫はとても穏やかできちんとした受け答えをして

私を、安心させた。

 

こうして、父も夫も、病院から家に戻り、しばらく家族の

看護を受けて、安らかに、旅立った。


夫の簡易葬式の時、義理の弟がつぶやいた。

”家で看取られ、亡くなることは、最高の贅沢ですね”。


彼も実父を、数か月前に、面会もままならないまま、

病院で亡くしたばかりだった。

 

家で看取ることは確かに、簡単ではないだろう。

家族や本人に負担はかかるのは否めないだろう。


看取る覚悟のためには、多くの人たちの寄り添いと、

物理的協力が不可欠だ。

父の場合は、介護保険を使ったことがなかったので、

自宅に戻れる手続きには、段取りが多くあった。


病院で行っていた点滴を、自宅点滴に切り替え、

その資格者の確保、ケアマネを探すこと、訪問診療

の事務的手続き、主治医Y医師の自宅診療

の同意取得などをひと月足らずで、済ませ父を

家に迎えた。


夫の場合は、父と異なっていた。

数年の間、要介護4であったこと、フレンドリーさん

という良き介護施設に夫を受け入れてもらえた

ことで、被介護者の私をも、精神的に支えて

もらった。


また、寝たきりになった夫の、着替えやリハパンの

交換などに毎日、専門職の方が数回、お手伝いに

来てくださった。


加えて、何かあればいつでも呼んでくださいというM医師

のご協力も有難かった。

 

夫と父、縁の深い二人の肉体衣を脱いで、魂の世界に

旅立つのを見届けることができ幸いだ。


父の場合、明け方5時前に、一瞬のまどろみから

覚めた私の目の前で静かに、文字通り、眠るように、

息を引き取ったばかりの父が永眠していた。

2007年8月20日朝5時だった。

 

夫も同様だった。

最期まで彼には”生きている”意識があった。

が、言葉は発せられなかった。

最後の言葉は、亡くなる2週間前に、

”やすよと一緒で、嬉しいから・・・”

という言葉だった。


この言葉は、私の心をそれまでのすべての凹凸を

平らにして、深い愛情で満たし満たされて

いることを教えてくれた。

 

2022年9月29日19時51分

夫の最期の一息を、はっきりと見届けた。

様子がおかしいので、M医師に連絡して、駆け付け

1時間足らずの間のことだった。

それは、本当に、安らかだった。


私自身、この時をもって、漠然と抱いていた死に対する

怖さも消えた。

現実とあの世は繋がっていると実感させてくれた。

紙一重の違いで、すぐそこにあの世はあるということを

体感できたからだ。

 

⁂"引きつれ・つまる 身体をほぐす”

須田麻沙子著 文芸社2013年

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