自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

癌細胞の意義と極道の道

2021年02月12日 | 自然治癒力・生命力・発揮する考え方

極道と遊佐 学氏のリーチアウト         2020.2/12

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興味あるドキュメント番組だった。 

ノンフィクション番組、そこにで、実名で登場した遊佐 学氏

元極道の彼が、今は、救いの手を差し伸べる側に立った。


何度か刑務所に服役した彼だったが、同じような経歴を持ち

出所して、当たり前の人生を生きようとしている同胞たちに、

温かく手を差し伸べていく姿を追っていた。 


刑務所から出てまた元の生活に戻らないよう、自立できるように

20代の若者から60代の年配者まで、情熱を持って、真摯に社会復帰

を助けるテーマのドキュメントだった。

2週にわたり、日曜日昼間にフジ系のチャンネルで放映された。

このブログ執筆時は令和2年11月1日

 

このドキュメントに感動を覚えたのは、誰でも無垢で

生まれてきたにもかかわらず、成長過程で家庭環境や教育影響から、

覚せい剤を覚え、極道の道という歪んだ生活に入って行ってしまう人

を追い、実際そうした道を歩んで更生した遊佐 学氏が彼らに、

理解と愛の手を精いっぱい差し伸べている姿だった。

 

唐突な発想に、このドキュメントは私の考えを飛躍させた。

それは、まだ10代の若者が、そうした道に入っていく姿は、

健康な細胞が、癌細胞へと変化していく様と重なったからだ。


ある意味、”癌細胞”は反社会的なこうした人たち

喩えられるのかもしれない。


大半の人たちは、社会ルールを守りつつ、自己制御しているが、

反社会的と非難される人たちは、社会になかなか適応できず、

そうした仲間同士で固まってしまう。

そして、暴力団などの餌食になるという場合があるからだ。

そうして 次第に、心身が麻薬などの薬に侵されて行ってしまう。

 

癌細胞も同様、普通の細胞と違い、自分の行動を制御できない。

だから、臓器をはみ出してもさらに増殖していける。 


規則正しく、分化し、成長しようとする細胞は、ES細胞

といわれ一般的な自己抑制できる人達と似ている。

一方、癌細胞は社会的規範を破り、周囲に迷惑を与える

厄介な人たちのように、”困った細胞”である。

 

癌細胞と、極道の道と、その意義ということに関して、

山中教授の万能細胞のお話を少し、させていただきたい。


IPS細胞という有り難い細胞が造られるとき、癌細胞になる

過程と、とても似た段階を経るということだ。

そして、紙一重の違いで、有益な細胞になるか癌細胞になるか、

その所がとても微妙であることが明確になった。

             

 2012年、京都大学IPS細胞研究所所長の山中伸弥教授は 

IPS細胞の開発により、皮膚の細胞に、4つの遺伝子を

導入させることで、万能細胞と同じ働きを確立した。

 

万能細胞は、生物の胎児期という発生過程でしか存在しない

もので、ES細胞と呼ばれ、これが生長とともに、神経や皮膚、

消化器などの臓器へと分化していく。

 

胎児期の段階で、ES細胞を取り出すためには、これまでは

胎児を傷つける可能性が問題とされたが、山中教授のIPS細胞

の開発により、万能細胞と同じ働きを即す方法がわかった。

結果、この研究が、倫理的問題の一つをクリアーして

より深めることが可能になった。

 

話を戻すと、無法者に喩えられた癌細胞の遺伝子が、

山中教授のIPS細胞開発初期で、使用された4つの遺伝子の

一つに含まれていた、という驚くべき事実があるという。


どういうことなのか?

山中教授は立花隆氏との対談で次のように語っている。

(“立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む”)

 

“IPS細胞を作る過程でもやはり癌が起こる過程、

プロセスと本当に重複している。 

よく似ている。

本当に紙一重と強く感じています。 

だから、両極端の細胞のように思われ有るのですが、

実際は、本当によく似ている。 

同じものの、表と裏をみているんじゃないかと

思えるくらいですから。”

 

“結局、再生能力というのは、ガンになるのと紙一重だと

思うのです。

だから、高い再生能力を持っているということは、

その生物の足がくれたら、確かに足が生えてくるかも

しれないが、同時にガンがすごくできやすいと

言うことなんじゃないかと・・・“(引用終わり)

 

IPS細胞ができる過程と、ガン細胞ができる過程とは

紙一重ぐらいの相違しかないと言う。

言い変えれば、再生能力を高く持つということは癌になりやすい、

という言葉の裏返しかもしれない。

 

IPSの治療が期待されている反面、臨床応用に足踏みする

理由の一つが、この“がん化”の問題だという。


万能細胞と、がん細胞がコイン裏と表のようによく似ている

としても、決定的に異なることは、万能細胞の遺伝子は

正常に分化する過程で、全体的に調和をもって行われるのに

対してがん細胞の遺伝子には異常があるため、それが

できないということだ。

 

正常な万能細胞遺伝子によって、体内のさまざまな臓器に

分化していったはずが、分化とは真逆に、また、胎児期の

未分化の細胞に戻って行こうとするのががん細胞の特徴と

いえる。

 

ところが、冒頭に述べたような 暴走族の副総長や

歌舞伎町のやくざであった、遊佐 学氏が刑務所から出て、

突然、まわりが讃嘆するような社会的貢献を始めた

のは、極道の道を歩いた人ほど、ある意味、とても良い人

になる可能性があるということなのだろう。


これは、ガン細胞も、元来の正常な細胞に戻ることが可能だ

という科学的事実と似ている。

 

先ほどの立花隆氏との対談で、山中教授はこういう。

“がん細胞は、不死化したらそのままだったのですけども、

ハーバードの先生のお仕事で、がん細胞であっても、違う細胞、

万能細胞に替えられることが分かったんです。


遺伝子の傷、遺伝子の異常というのは、変わらないのですが、

その遺伝子異常があるにもかかわらず、4つの遺伝子を入れると、

違う種類の細胞に変わるということが示されたのです。“(引用終わり)

 

つまり、ガン細胞も変わることが可能ということ。

その厄介な細胞が、再生力を持つ、万能細胞に替えられる

ことができるというのは画期的なことだ。

4つの遺伝子を入れることで、万能細胞に変わり得るという。

 

この最新科学と、遊佐 学氏の話の共通項は一つ。

誰もが避けたい”ガン細胞”も、扱い方では”再生細胞”に

変化するように、どんなに悪人極道人でも、人間生まれた

時の純なる無垢なる“神の子”という資質を発揮できると

ことだろう。 

 

どんなにアウトロー的な生き方をしてきた極道人でも、

それまでの自分が嘘だったように、まるで。それまでは

悪夢をみていたように、新しい人生の局面が広がると

いうことだ。


新しい舞台の幕があがる。

遊佐 学氏の地道な元極道の人たちに社会的援助を

差し伸べる姿は、IPSのまさに再生細胞と同じように、

触れた人たちの心を緩やかに変えて行く、大きな力が

あると感じた。

 

 

 

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