もうこのエリアに30年あまり住んでいると家の周りの花や木と親しくなるものである
〇〇さんちのハクレンが散ると 川沿いのソメイヨシノの出番。それが一斉に散って川に花びらの筏が形作られると八重桜が咲いてくる。
その他の木の花、歩道の縁を彩る草の花。お屋敷の塀の上から覗くはなみずき、金属のフェンスからこぼれるもっこうバラ
だいたいメインの道のそれらは覚えていて、犬の散歩の時に、「そろそろ見ごろ」って時に合わせてそこまで足を運ぶのだけど・・・
1つだけ、一度巡り合ってから何年も見ていない花があった。
あれは先代のダックスPちゃんと一緒だったから5年以上前のことだったと思う。
犬の散歩仲間に連れて行ってもらった白い藤の家。
そんな大きなお屋敷ではなかったが、家の前に大きな藤棚があり、そこから何房も花房が垂れていて、棚からあふれて触手を伸ばすようにしてつるは家の壁もつたい、そこからも房を垂らしていた。
そして何より、あたりに漂う芳醇な香り。藤の花ってここまで香るのかと知ったのがその時だった。
それから何年。
毎年、あの藤を見たいなと思いつつかなえられなかったのは、その家ががものすごく建て込んでいてい同じような路地が迷宮のように入り組んでいるところにあったからである。
この辺かなと思ってもそれはなく、次の日に探してみても、たどりつきそうなところで雨が降ったり暗くなったりしてその季節が過ぎ去ってしまうことが続いていた。
そして今年、予定していたスケジュールがすべて消えて、ありあまる時間があるsocial distance推奨の年。犬と一緒に迷宮を辿るのくらいがちょうどいい。
しかし、一日ではたどり着かず、毎日それらしい場所を探して、ウロウロ人通りのない路地をうろつくワタシは怪しいオバサンだったかもしれない。
今日は晴れていたが風がとても強く、住宅地の奥のお寺の境内にある大きな杉はしなり、枝と葉がざわざわと不穏な音をたてていた。
この杉の周りも何度もきているが、迷宮度あいがハンパなく、一度来ても二度とこれないようなその杉による魔法にかけられるような地域なのだ(単にワタシが方向音痴なだけかもしれないが)
周りの道を丹念にぐるぐる回ってみて
今日ついに発見!
記憶では家の壁を伝わっていたつるは払われたのか、だいぶコンパクトにはなっていたが、あの大きな白い花房は健在だった。
その周りにはあのうっとりするような香りが漂っていた。
同じように来るはずの春が同じじゃなかった今年の春。
迷宮の奥の花は来年も同じに咲いて、またワタシもこの前に立てるのだろうか?自分は変わっていないかもしれないが、周りの状況はどうなっているんだろうか?
少し遠くになった杉の梢のざわめきを聴きながらしばし立ちすくんでしまった。
ふと視線を感じ、見上げた向かいの家の出窓の中にはこんなヤツがいた。
〇〇さんちのハクレンが散ると 川沿いのソメイヨシノの出番。それが一斉に散って川に花びらの筏が形作られると八重桜が咲いてくる。
その他の木の花、歩道の縁を彩る草の花。お屋敷の塀の上から覗くはなみずき、金属のフェンスからこぼれるもっこうバラ
だいたいメインの道のそれらは覚えていて、犬の散歩の時に、「そろそろ見ごろ」って時に合わせてそこまで足を運ぶのだけど・・・
1つだけ、一度巡り合ってから何年も見ていない花があった。
あれは先代のダックスPちゃんと一緒だったから5年以上前のことだったと思う。
犬の散歩仲間に連れて行ってもらった白い藤の家。
そんな大きなお屋敷ではなかったが、家の前に大きな藤棚があり、そこから何房も花房が垂れていて、棚からあふれて触手を伸ばすようにしてつるは家の壁もつたい、そこからも房を垂らしていた。
そして何より、あたりに漂う芳醇な香り。藤の花ってここまで香るのかと知ったのがその時だった。
それから何年。
毎年、あの藤を見たいなと思いつつかなえられなかったのは、その家ががものすごく建て込んでいてい同じような路地が迷宮のように入り組んでいるところにあったからである。
この辺かなと思ってもそれはなく、次の日に探してみても、たどりつきそうなところで雨が降ったり暗くなったりしてその季節が過ぎ去ってしまうことが続いていた。
そして今年、予定していたスケジュールがすべて消えて、ありあまる時間があるsocial distance推奨の年。犬と一緒に迷宮を辿るのくらいがちょうどいい。
しかし、一日ではたどり着かず、毎日それらしい場所を探して、ウロウロ人通りのない路地をうろつくワタシは怪しいオバサンだったかもしれない。
今日は晴れていたが風がとても強く、住宅地の奥のお寺の境内にある大きな杉はしなり、枝と葉がざわざわと不穏な音をたてていた。
この杉の周りも何度もきているが、迷宮度あいがハンパなく、一度来ても二度とこれないようなその杉による魔法にかけられるような地域なのだ(単にワタシが方向音痴なだけかもしれないが)
周りの道を丹念にぐるぐる回ってみて
今日ついに発見!
記憶では家の壁を伝わっていたつるは払われたのか、だいぶコンパクトにはなっていたが、あの大きな白い花房は健在だった。
その周りにはあのうっとりするような香りが漂っていた。
同じように来るはずの春が同じじゃなかった今年の春。
迷宮の奥の花は来年も同じに咲いて、またワタシもこの前に立てるのだろうか?自分は変わっていないかもしれないが、周りの状況はどうなっているんだろうか?
少し遠くになった杉の梢のざわめきを聴きながらしばし立ちすくんでしまった。
ふと視線を感じ、見上げた向かいの家の出窓の中にはこんなヤツがいた。