※念のためR18(露骨な表現は有りません)
華にくちづけを
soliloquy 七夕月act.3 Temps pour encens sucre―another,side story「陽はまた昇る」
スタンドランプのやわらかな光に花が甘い。
濃やかな芳香けぶる視界の真中で、切長い目が幸せに笑んでくれる。
見つめて、端正な唇そっと披かれ綺麗な低い声が微笑んだ。
「俺のこと恋してよ、周太?もっと綺麗になって、ずっと俺の傍にいて…周太」
約束を求める唇、ふわり唇に重なりキスになる。
優しい熱いキスの狭間、静かに甘い梔子が香らせて言葉、奪われていく。
「おいで、周太」
微笑んだ声に白い衣の腕伸ばされ、抱き上げられる。
かすかな衣擦れの音にベッドに降ろされるまま、藤色の帯に白皙の指が掛けられた。
「周太、明日の負担にならないようにするから…」
求めを告げながら唇キスに塞いで、腰に絹ずれの音が伝わらす。
結われた腰がゆるめられ、帯解かれて床へと零される藤いろが、花の滝のよう。
ほどかれる白い衿に恥ずかしくて俯く額にキスふれて、囁きが耳元へとふれた。
「周太、今夜も抱きあってくれるんなら、俺の帯をほどいて?」
言葉に、恋人の瞳を見つめて途惑う。
だって自分が英二を脱がせたことなんて、一度も無いのに?
…そんなことして、いいの?
誇り高い英二は、体を勝手にされることは望まない。
冬1月、富士の雪崩の後に光一が狂言をしたときも、英二は必死で拒絶した。
だから肌に脱がせることなど嫌なのだと思っていた、それでも今は望むの?
なにか信じられない想いに見つめてしまう、そんな周太の掌を白皙の手がとった。
「周太…俺のこと抱きたかったら、帯を解いてよ、」
きれいな低い声が囁いて、切れ長い目が見つめてくれる。
すこし首筋が薄紅そまらせ、けれど白皙の手は周太の掌を勝色の帯に触れさせた。
「俺の帯を、ほどいて?」
帯ふれる掌を惹きこんで、背中へと回させる。
惹かれるまま体寄せられ、ひろやかな懐に凭れてしまう。
乱れる衣へと白皙の手すべりこんで、素肌の腰が抱かれ周太は瞳をとじた。
…熱い、英二の掌
肌ふれる掌が熱い、その熱っぽさに恋人の望みが伝わってしまう。
このまま肌を重ね合わせたい、そう願ってくれる熱に周太は勝色の兵児帯に指をかけた。
しゅっ、
かすかな絹ずれに帯やわらかに解けていく。
抱きしめられる素肌まわされた掌が熱い、その熱に誘われるまま絹を手に絡めとる。
勝色の絹は手に巻かれて解ける、そして床へと黒藍いろの川が奔らされた。
「ありがとう、周太…今夜も、お許しくれるんだね?」
きれいな低い声が囁きながら、濃やかな睫の瞳が微笑む。
艶めく陰翳きれいな英二の眼差し、その胸元がゆるんで白い衿に白皙が覗く。
あまやかな花の香に艶やかな肌を見て、緊張と誘惑が鼓動に心を締めてしまう。
「…あ、」
ため息まじりの声こぼれて、どうして良いのか解らない。
ただ見つめる想いの真中で長い指の手は、黒い革紐を首から外してサイドテーブルに腕を伸ばす。
ことん、ちいさな音に銀色の鍵は置かれて、そのまま長身の肢体が覆い被さった。
「きれいだ、周太…」
名前呼んで、白いシーツの底へと惹きこんでいく。
抱きしめたままリネンに横たわり向かい合う、その長い指に白い衿は肩から脱がされていく。
肌すべる夜衣の感触に心ふるえて、鼓動がおかしくなってしまう、呼吸がつまりそう。
そんな想い、頬ふれるシーツに見つめる恋人は、そっと誘惑に微笑んだ。
「周太から俺を抱いて?…俺のこと犯して、」
きれいな低い声がねだって、素肌の体を抱きしめていく。
ひろやかな胸に抱きあげ、唇よせてキスふれて、切ない眼差しに見上げてくれる。
途惑って見つめてしまう、その想いへと婚約者は紅潮の首すじ魅せて微笑んだ。
「この間みたいに、俺にして?…周太がしたいように俺を犯して、気持良くなってよ…周太にされたい、」
端正な貌に誘惑まばゆい。
濃やかな睫の眼差しは微熱に艶めいて、求めを素直に見つめてくれる。
艶麗な貌のまま周太を抱きしめ、起きあがって座り向かい合う。
そうして周太の目の前で、長い指は白い衿をくつろげ白皙の裸身を夜に晒した。
「おいで、周太?…来て、」
華やかな含羞と求めの熱が微笑み、白皙の脚が開かれていく。
その狭間へと長い腕が周太を惹きこんで、腰ふれあわすよう誘いにゆらいだ。
「周太の体で、俺を狂わせてよ?…この間みたいに俺を抱いて、操ってみせて?」
ときん、鼓動が心を引っ叩く。
こんなふうに誘われている今は幻?そんな想いに心ふるえてしまう。
それでも呼吸ひとつに自分を支えて、そっと周太は婚約者に尋ねた。
「…いいの?俺が英二にしても…俺なんかがいいの?」
「このあいだも言っただろ?周太だけにされたいんだ…だからおいで、」
きれいな低い声が誘惑に微笑む、その声に素直に体をよせる。
あわいランプの明りに見下ろす体は「大人の男」あふれる男性美まばゆい美貌の肢体。
こんな立派な体を、自分のような子供っぽい体が好きにして良いの?
そんな畏怖が心すくませる、けれど美しい婚約者は幸せに笑いかけてくれた。
「おいで、周太?…俺を抱いて、この間みたいにしてよ、」
望んでくれるなら、この逢瀬につくしたい。
こんな自分を望んでくれる、その想いがただ幸せで周太は、素直に微笑んだ。
「はい、おねがいします…いたかったらいってね?」
告げながらも恥ずかしくて、つい睫伏せてしまう。
それでも掌を白皙の肌ふれさせて、そっと恋人の腰を抱き寄せた。
そんな動きに切長い目が見つめてくれた眼差しに、想いの温もりと深みを気付かされる。
…英二、俺に自信つけようってしてくれてる
ことんと心に落ちた納得に、浴室での想いが蘇える。
さっき浴室で自分は「勘違い」に涙をこぼした、あの悔しさを英二は気付いてくれている?
…俺が体のこと自信ないって気がついて、それで今夜もさせてくれるの?
そう見つめる想いの向こう、白皙の美貌がひとつ息を吐く。
その切長い目は天井を見上げて、かすかな緊張が強張っている。
けれど周太に気付いたよう視線がこちらに向いて、きれいな低い声が微笑んでくれた。
「周太、周太のこと全部が大好きだよ、だから俺のこともっと好きになって?…俺を抱いて好きになってよ、だから、おいで周太、」
ほら、やっぱり英二は解かって想ってくれる。
それが嬉しくて幸せが温かい、この温もり微笑んで周太は、大好きな恋人にキスをした。
「はい、英二…お願いします、」
これからの時間に始まりを告げて、恋人へと綺麗に笑いかけた。
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