第58話「双壁14」の後「建申月10」の続編です
※念のためR18(露骨な表現は有りません)
※念のためR18(露骨な表現は有りません)
夢現、その姿を知っても
secret talk11 建申月act.11―dead of night
純白のシーツの海、桜いろの爪がきらめく。
真昼の太陽ふるベッドに雪白の肌は艶めく、透ける肌に筋肉のラインが光る。
時おり逃げそうになる細い腰、抱きしめるまま楔は深まり繋げられ、透明な声が喘ぎをこぼす。
白いシーツの波を掴む桜いろの指先、その長く繊細な指に指を絡めて握らせ、喘ぐ薄紅の唇にキス重ねこむ。
まだ濡れている黒髪に陽光は艶めく、その髪に頬うずめて噎せる花の香に呼吸して、美貌の恋人に囁いた。
「きれいだ…光一の体も香も、全部がきれいで色っぽくて…困るな、」
「…っ、ぁ…ど、して…こまる?…」
喘ぎの狭間に訊いてくれる声、あまやかに透明で耳から魅せられる。
腰を深く重ね合わせながら見つめて、吐息に悶え顰ませる眉にキスして英二は微笑んだ。
「きれいすぎて独り占めしたくなる…寮の風呂とかで他のやつに見られるの、嫉妬したくなるから困るよ」
「ほ、んと…みがってだ、ね…ぁあ、っ、」
答えてくれる微笑が艶やか過ぎて、愛しくて抱き寄せる。
深くなる感覚にあまさが背すじを奔りだす、その体の下で雪白の体がふるえた。
「あ、っ、ぁぁ…だめ、ぁ、…っ、」
透ける声、長い睫から涙こぼれて、重なる肌に熱あふれだす。
ふれあわす腰のはざま花芯ふるえて、高雅な香り昇らす熱が絡みつく。
繋ぎあう深みの動きに肌は擦られていく、ゆれうごく肌に絡んでいく熱の滴りにテノールが泣いた。
「や、…ぁ、英二…っ、も、いっちゃって、から…あっ、変に、な、」
「変になって、光一?…もっと感じて可愛い声、聴かせてよ…逃げないで、」
逃げそうな体を抱きしめ、楔を深く穿って逃がさない。
撃ちこんだ楔に体温の襞が熱い、幾度も埋め込まれる熱に蕾はほころんで拒めない。
されるがまま受容れてしまう体へと、長い睫の瞳は雫きらめかせて喘ぎ艶めかせた。
「あ、ぁぁ…こんな…っ、ぁ、して、な、んで…?っ、ん、」
「光一が好きだから」
吐息に短く答えて、微笑んでキスをする。
あえぐ吐息が唇から融けてくる、あまい香が熱くこまやかに喉ふれていく。
呼吸から自分のものに独り占めして、愛しさのまま犯し繋ぎあわせ甘楽に結び合う。
キスから伝える想いに腰をゆらせて幾度も結び、そうして果てを迎え充ちながら深く抱きしめ囁いた。
「愛してる、だから…今度こそ逃げないで、目が覚めても俺の胸にいてよ?光一、」
深く繋いだまま抱きしめ唇重ねて、約束に微笑みかける。
力を消した肌は桜いろに紅潮そめるまま、見つめて応えてくれた。
「ここにいたいよ、俺も…だから今だけは、夢でも…俺を見てよ、ね?…それならここにいられる…」
「約束するよ…光一」
約束に笑いかけキスを交わす、抱きしめる肌と繁みに熱の滴りは絡みつく。
そのままに抱き上げてベッドを降りると、バスルームの扉を開いた。
「光一、疲れてるのにごめんな?でも今、中出ししちゃったから眠る前に洗わないと、具合悪くなるから、」
「あ、やっぱり…そうだった、ね?」
バスタブに抱きおろされながら、透明な瞳が可笑しそうに訊いてくれる。
その笑顔に笑いかけて英二は、ぬるめのシャワーを雪白の肢体に浴びせた。
「光一、中出しされたの解かったんだ?」
「ん、なんか熱いのが…中に奔ったからね、」
答えてくれながら気恥ずかしげに微笑む、その貌が愛しい。
こんな貌をするようになった、それが不思議で嬉しくて英二はシャワーの中で抱きしめた。
「光一、本当に好きだよ…抱く前よりもずっと好きだ…こんなの俺、こまるよ」
「どうしてそんなに、困る?」
降りそそぐ湯に透明な瞳が微笑んで、そっと唇を重ねてくれる。
重ねたキスに湯は濡れて雫があまい、静かに離れて見つめ合うはざま水音は響く。
シャワーの湯気に温まるバスタブのなか、抱きしめ体を開かせながら英二は、切なさに微笑んだ。
「あんまり好きだと離れられないだろ?だから今も、ごめん、」
ごめん、そう言葉は謝っているのに、抱きかかえた腰を近寄せ重ねさす。
ほどかれた蕾に先を当て、そのまま深く穿ち繋がせると白い喉が仰け反った。
「あぁっ…あ、え、いじ…?」
「光一、」
名前を呼びかけキスをして、抱えた腰をゆっくり動かせる。
繋ぎ合わせた肌の熱に乱されるよう、穿たれた蕾から白く潮の残滓がこぼれだす。
ベッドで注ぎ込んだ自分の熱を今、挿し入れた楔に零させながら腰ゆらめかせていく。
湯気たち籠る白いバスルーム、雪白の肌は桜いろ昇らせながら透明な声が吐息に喘いだ。
「こ、なことして…あ、ぁ…そ、なに俺を、ほし、いわけ?…」
「ほしいよ、光一、」
降り続く湯に、薄紅の唇からテノールは悶え零れ、蕾に熱はあふれさす。
座らせるよう膝に抱えあげ肩に腕を回させる、そして深く穿たれるまま光一は喘いだ。
「あぁ、っ…そ、んな深くし、て…あ、」
「光一、」
名前を呼んでキスを重ね、ゆっくり体を起こさせ蕾を解放させる。
楔を抜かれながら潮は滴り、桜いろ華やいだ脚に白く軌跡を描いて零れていく。
そっと蕾に指ふれ挿し入れて、ほころんだまま開かせゆるくシャワーの湯を注ぎ入れた。
「ぁ、っ…なに?」
途惑いの声こぼして、透明な瞳が泣きそうになる。
その目許をキスで宥めながら、湯を入れた蕾に指を挿しこむと抱きよせた。
「中の精子を出すのに、シャワーで浣腸するんだよ。ごめんな、こういうのばっかりで、」
男同士だと直腸を性器として使うため、その洗浄を事前にする必要がある。
本当は避妊と同じようコンドームを使えば、事後の洗浄は必要ない。けれど今回は使わずしてしまった。
こんな自分の行動に困りながらも微笑んで、英二は正直に山の恋人に告白した。
「光一。中出しって俺、初めてしたよ?それくらい光一に夢中なんだ、」
告げた言葉に透明な瞳ひとつ瞬いて、不思議そうに見つめてくれる。
ためらうよう、けれど薄紅の唇を披いて光一は訊いてくれた。
「あのさ…周太にもしていない、わけ?」
「していない、誰にも、」
即答に笑いかけ、シャワーふる湯気に唇重ねてキスを交わす。
ふれるだけのキスに湯は忍びこみ甘い吐息に香らせる、ふたつの唇から熱くあふれて顎から肌伝って落ちる。
そっと離れて見つめ合って、あわく赤い額にキスすると英二は恋人に、すこし困り顔でお願いをした。
「光一、指を外したら力んでくれる?このまま、ここで出して、」
「…ここって、バスタブで?」
途惑うよう見つめ訊いてくれる、その目に困り顔のまま頷いた。
その視線の先で優美な貌はすこし怯えて、けれどテノールの声は呆れたよう尋ねた。
「おまえって、そういう趣味もあんの?…ヤる前はトイレで出したのに、」
「そういう趣味は、あんまり無いよ?」
言うべき否定を告げ、笑いかける。
訝しげに見つめる眼差しを受け留めて、英二は理由を口にした。
「ここで出してくれたら、中で出血しているのか解かるだろ?その確認をして、必要なら手当てしたい。だから言うこと聴いてくれる?」
正直に述べた考えに、ほっと溜息を吐いて見つめてくれる。
ためらうような視線、けれど光一は素直に頷いてくれると、そっと睫を伏せた。
言葉は無くても「Yes」の意思だと伝えてくれる、それでも本当は誇り高い光一は嫌だろう。
プライドの傷みを超えて信頼してくれる想いに、英二は感謝を愛しさのまま綺麗に笑いかけた。
「ありがとう、光一。俺のこと信じて任せてくれて、」
そっと指を抜き、シャワーを一旦止めた。
ややあって、言葉に従った光一が零した残滓を見て、安堵に英二は微笑んだ。
「良かった、出血は無いみたいだな、」
笑いかけシャワーを開栓すると、ぬるめの湯ですぐ洗い流す。
掌に石鹸を泡立てて、竦んでいる恋人の肌をふれると丁寧に泡でくるみ始めた。
首筋から肩、胸と洗っていく英二の手を見つめて、ぽつんとテノールが訊いてくれた。
「…嫌じゃないのか?」
「なにを?」
桜いろの肌を泡すべらせながら、透明な瞳へと英二は微笑んだ。
その視界の真中で、困ったよう躊躇うよう薄紅の唇は開かれた。
「する前も俺のこと、いろいろ面倒を見てくれてさ…終わってからも今みたいなコトして、面倒臭くないワケ?嫌じゃないの?」
「嫌じゃない、嬉しいよ?」
さらり答えて笑いかける、その視線の先で無垢な瞳ひとつ瞬いた。
すこし驚いたような眼差しに微笑んで、泡にくるまれた体を英二は抱きしめた。
「好きな人の為に何か出来るのって、俺は何でも嬉しいよ?だから俺、セックスの準備とかも本当に幸せなんだ、愛し合う証拠だから。
でも、ごめんな?光一は恥ずかしいのに、俺ばっかり喜んでいるみたいでさ。そういうのも含めて俺、光一に嫌がられないか不安なんだ、」
男と女だったら必要が無い手順、けれど男同士で疎かにすれば傷病の危険を招く。
こんな現実が男同士の恋愛にはある、それを正直に英二は初心な恋人へと告げた。
「男同士だと最後までするんなら、直腸を綺麗にすることは必要だよ?こういうの面倒だからって、フェラまでにする人もいるらしい。
俺は全部して、愛し合ってるって感じることが好きだけど。でも受身は負担がかかるだろ?光一が嫌だって想っても当然のことだ。
だから光一、正直に言ってくれる?俺とのセックスが嫌ならそう言ってよ、フェラまでならそれでも良い。光一は俺と、どうしたい?」
本当に好きな人と体を繋げてみたい、そう光一はずっと願っていた。
その願いを昨夜と今とで叶えたのなら、こうした準備を「面倒」と想うままに止めても良い。
そうした選択を委ねて笑いかけた先、泡すべらす体は縋るよう抱きついて頬よせてくれた。
「全部してよ?ずっと、…惚れた相手と体重ねるの、幸せだって教えた責任とってよ、ずっと…ずっと大切にしてよ、ね…ずっと、」
泣き出しそうなテノールの声が愛しくて、ふりかかるシャワーの湯ごと温められる。
肌理細やかな皮膚を透かす紅潮に、花ひらくよう高雅な香と桜いろ咲きほころんでいく。
湯に重ねた肌の温もりと香に微笑んで、透明な瞳を覗きこみキスと笑いかけた。
「ずっと大切にするよ、光一。光一は俺の夢で憧れで、俺の全部なんだ。もう、離れられないから、」
「うん、だね?…離れないでね、俺から」
微笑んだ声の合間、シャワーの湯に泡は流させれて艶めく肢体が露になる。
なめらかな肌は体毛も殆ど無い、彫刻のよう均整まばゆいラインを描かす体は、細くても強靭しなやかに美しい。
この体が「山」を駈けて自分を夢の場所へ連れて行く、そんな想いに見つめて英二は綺麗に笑いかけた。
「約束するよ、光一。ずっと体ごと愛するよ、ずっと一緒に山へ登る、」
キスに想いを告げてシャワーを止めて、バスタオルに恋人を包みこむ。
ざっと自分の体も拭って、タオルごと光一を抱きあげるとバスルームの扉を開いた。
ふわり肌ふれた空気が涼やかで、抱え上げ触れあうタオル以外は裸身の肌から火照りを鎮めてくれる。
そのままベッドにあがり、恋人からバスタオルを外すと桜いろと香の馥郁が艶めいて、惹かれるまま抱きしめるとシーツの海に沈んだ。
「光一、すこし眠ろう?」
「うん、」
提案に微笑んで肯って、そっと頭を凭せてくれる。
まだ濡れている黒髪に真昼の光きらめく、綺麗で見惚れながら指に梳いていく。
ゆっくり長い指に黒髪を遊ばせる、そんな英二に透明な声は羞むよう訊いてくれた。
「あのさ、中出しは俺が初めてって言ったよね?…どうして周太にはしないで、俺にはした?」
どうして?そう問いかける瞳を真直ぐ見つめる。
その瞳には窓の山が映りこむ、きれいな瞳に見惚れながら英二は正直に微笑んだ。
「負担を掛けるの嫌で、周太にはしなかったんだ。でも光一にはどうしてもしたかった、俺の初めてをあげたかったから。
光一の初めての男になれて嬉しくて、だから俺の初めてを何か光一にしたかったんだ。でも、こんな初めては迷惑だったかな、ごめんな、」
素直に謝って微笑みかける、その視線の先で透明な瞳が見つめてくれる。
透けるほど明るい瞳から光こぼれて、やわらかなテノールは言ってくれた。
「うれしいね、英二の初めて…あのさ、またしてイイよ?英二がしたかったら…ちゃんと後の事も面倒見てくれるんなら、ね」
「ありがとう、嬉しいよ?光一、またしたい、」
素直に笑いかけた先、透明な瞳が幸せに微笑んだ。
明るいベッドの上、白いリネンに埋もれた笑顔は無垢なまま優美にまばゆい。
綺麗で、見惚れるまま素直に抱きしめて瞳を覗きこんで、約束をねだり笑いかけた。
「光一、今から眠るけど、俺が起きるまで腕のなかに居てくれる?」
今朝、消えていた恋人に抱いた想いの欠片だけ願い出る。
本当は「いつも」と言いたい、けれど誇らかな自由を無理に留める事は出来ない。
なにより自分の方こそ婚約者が待っている、その現実に「いつも」と言う資格なんて無い。
そう解かっている癖に、それでも切ない自分勝手な想いに笑った向こうから、テノールが微笑んだ。
「もし腕から出たかったらね、ちゃんと起こして許可を取るよ?だから安心して、眠りなね、」
ずっと待っている、そうは言わない。
けれど行く時は告げてくれる、そんな約束が自由の山っ子らしい。
こんならしさが嬉しくて、綺麗に笑って英二は山の恋人を抱きしめ問いかけた。
「光一、今から何の夢を見る?」
「そりゃ決ってるよ、アイガーの天辺だね。おまえと一緒に登ってるとこがイイ、」
透明なテノールが幸せに微笑んだ唇に、唇を重ねてキスに花の香が噎せる。
あまやかな高雅な香に見つめ合い、深めていくキスの熱を確かめ合わす。
唇に繋がれ指絡めあわせ、抱きしめふれあわす温もりが素肌に優しい。
温もりと香に指を絡め合せ、繋いだ手に頬よせて英二は微笑んだ。
「愛してるよ、俺のアンザイレンパートナー。夢でも一緒に登ろうな?」
眠りにも逢瀬を約束して、真昼の夢にふたり微睡んでいく。
微睡み堕ちる最後の瞬間、見つめるのは窓ごしの蒼い岩壁の山。
そこは生と死を共に見つめた、冷厳の風が駈けぬける夢の場所。
(to be continued)
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