おかんのネタ帳

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ブラッド・ブラザーズ大阪大千穐楽

2022-04-26 12:26:22 | 演劇・舞台
週末、舞台を観てきました。
ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。
大阪梅田のドラマシティで、この日が大千穐楽です。



1983年のロンドン・ウエストエンドでの初演以来、世界中で愛されているミュージカル。
日本でも何度も上演されています。

今回は、日本初演の時にサミー役で出演してたという吉田鋼太郎さんが演出。
鋼太郎さんは俳優としてもよ~く知られている人ですが、蜷川さんのシェークスピア作品を受け継いだ演出家でもあります。
それでも、ミュージカルは初演出なんですね。

感想を少し。
台詞等は、私の記憶の中にあるものなので、正確ではありません・・・間違ってたら、そう~っと教えてくださいませ。


二卵性双生児として生まれた二人の男の子の物語。
ナレーターが二人の数奇な運命を語る・・・という始まり方をします。
(ラストがどうなるのか、先に見せているんですよ・・)

一人は裕福な家にもらわれ、もう一人は実母や兄弟とともに貧しさの中で暮らす。
二人は、双子であることを知らないまま人生を通して友情をはぐくんでいくが・・・
・・・・

双子の男の子、ミッキーを柿澤勇人くん、エディをウエンツ瑛士くんが演じます。
実母ミセス・ジョンストンを元劇団四季の堀内敬子さん。
エディを引き取るお金持ちの家のミセス・ライオンズを元タカラヅカの一路真輝さん。
双子の幼なじみリンダを木南晴夏さん。
物語を語るナレーター役を伊礼彼方さん。

もちろん、ミュージカルなので歌がたっぷり。ダイジェストは → こちら

前半は子ども時代が描かれていて、
カッキー(柿澤くん)やウエンツくん、晴夏さんが7歳児になるんですね。
お兄ちゃんサミー役の内田朝陽さんも10歳児。
もうほんとに、役者さんてすごいな~って思うくらい子どもでしたよ。
・・・アンサンブルの方々も子どもになるんですけど、さすがにアタマのてっぺんがハゲた子どもはないやろ~とツッコミつつ(狙いすぎちゃいます~!?)

とにかく、この日は大阪大千穐楽ということもあって、アドリブ炸裂?
お初に観たから比べようもないというか、正解がわからへんのですけど。
かなり、笑いをぶっこんでたように思いますね。

とにかく、カッキーの半ケツ!を3回も観られるなんて~~~(ほんとは二回らしい 苦笑)
舞台から客席にも降りてましたよね?? (東京楽日とこの日だけやったみたい)
ひや~~って、思わず歓声があがりましたよ(コロナ過なので遠慮がちではあったけど~)

そして、ナレーター役であり、牛乳配達夫やったり医者でもあったりする伊礼さんが、学校の先生をするシーン。
生徒役の岡田誠さんが「はい!先生!」って何度も手を上げ続けるんで、伊礼さんが彼をいじるんですね。
それはどうも、お決まりらしいのですが・・・伊礼さんが言うんですよ。

「もうすぐ校長になる鋼太郎さんが東京から来られてるんで、延ばしても大丈夫なんだから」

無茶ぶりをしてましたよね~? 伊礼さんも踊りますけど(なんとか族のダンス??)
岡田さんはイノシシダンス?まで踊らされてました(いや、自ら踊ったのかな~)

「上に行くか?上に連れてって神にしてやうか?」

岡田さんに言った伊礼さんの言葉。
思わず笑ってしましましたよ。
ドラマシティの上にある梅田芸術劇場メインホールで、舞台『千と千尋の神隠し』をやってるから。
そこに連れてって神にするぞ~って言うてるんですよね?
会場も笑ってましたね!

そして、カッキーもイノシシダンスを真似たりして、客席が沸いてました。
(カッキーはアドリブは苦手なのかあまりやらないらしいけど~ 鋼太郎さんのご指示なら~)
それにしても、長いアドリブでした~!

もう一か所、長いアドリブ。
15歳のミッキーとエディが、ポルノ映画を観に行こうとするところですね。
性への好奇心、びくびくワクワクしながらいこうとする少年たち。
それを母親に見抜かれてドギマギする二人が、なんともかわいいシーンです。

母親の堀内さんに「なんの映画を観に行くの~?」と聞かれて二人が照れながら答えるんですが、
ここでアドリブを入れるように言われたのか(鋼太郎さんに!) 二人が頑張るんです。
堀内敬子さんが元劇団四季ということもあり、あ、カッキーもやけど、四季ネタがあるんですよね。

どんな映画かを説明しようとして (まさかポルノとは言えず)

・・・ネコがいっぱい出てくるやつ。そうそう、ママのよく知ってるあれね  → (劇団四季の)CATSのことですよね!

堀内さんがおっしゃるんです。
「今日は鋼太郎さんから引き延ばしてもいいって言われてるからね~~」 (客席が喜ぶ)

・・・地下に仮面をかぶったやつが出てくる → (劇団四季の)オペラ座の怪人のことですよね!

そしたら堀内さんが無茶ぶりするんですよ、「歌ってみな~」 (客席がまたまた喜ぶ)

元劇団四季のカッキーが、「歌えるかな」と首をかしげながら歌いだし~~ (歌えるのがすごい!)
・・・客席が、ほんとに、めっちゃ喜びましたよ!! 

ここも、長いアドリブでした~~

リンダを演じる晴夏さん。
子ども時代のリンダは、短いスカートでとにかくかわいい。
(私生活では玉木宏くんの奥様で一児のママですが)
ミッキーに「愛してる」を連発するけど、とにかくかわいいから嫌味もなくて。
晴夏さんは大阪出身。
エディと3人で騒いでるときに大阪弁ニュアンスになるとことか、素で笑ってしまったりするとことかも面白かったですね。

とはいえ、コメディは一幕まで。
二幕からラストに向かって、二人の行く道の明暗がはっきりしていきます。
リンダの妊娠を機に結婚するもミッキーは失業、兄サミーにそそのかされて犯罪に手を染めてしまう。
エディは大学に行き、やがて議員に。
薬物中毒にまで陥ったミッキーを、リンダとともに親友として救おうとするエディ。
でも、リンダとエディの関係を疑ってしまったミッキーは・・・

「本人たちが双子だと知った時は二人とも死ぬ」

二人が赤ん坊の時、子どもを取り戻されたくないから、ミセス・ライオンズはミセス・ジョンストンにこう言うんです。
この言葉がほんとに悲しいんですよね~。

サニー兄ちゃんが持ってるおもちゃの拳銃が欲しかったミッキー。
エディが引っ越すときにミッキーが欲しがってたからと、エディは拳銃をプレゼントするんです。
そしたら喜んで、「バン!」と、エディを撃ってみるミッキー。

まさかね。ラストもそういうシーンになるなんて(涙)

リンダとの仲を疑うミッキーがエディに拳銃を向けた時、母親のジョンストンが言うんです。

「やめて! あなたたちは双子、兄弟なのよ!」

銃に弾が入っているかどうかもわかってなかったのに、ミッキーはエディを撃ってしまう。
そしてすぐに、警官がそのミッキーを撃つ。

あっけない幕切れ。ほんと、切ない。

母は、二人を守りたくて真実を告げたのに~~ 

カーテンコール、順に登場するキャスト。
堀内敬子さんが登場したときは目頭が熱くなりましたね。
息子たちである、ウエンツくんとカッキーにも。

そして、アンサンブルさんからキャストが登場するたびに、後方席から「ブラボー!」の声。
コロナ過に、声を出してる人いてる~~~とドキドキしてたら、それが鋼太郎さんでした!
私の席からは、上げてるウデが見えましたよ。
ダブルコールからスタンディングオベーションでしたけど、キャストの方が客席にいる鋼太郎さんをステージに呼びましたね。

「声を出しちゃいけないって言ってるのに、一番声を出してたのは私です。すいません。
いや~ほんとに良い舞台過ぎて、お客様気分で拝見しておりました。
手前味噌で申し訳ないですが、ほんとに良い舞台でした」

客席拍手!
もう、これくらいの楽しみ方してもいいよね、大千穐楽やし、って感じかな。

せっかくなので、キャストを紹介するとおっしゃる鋼太郎さん。
「ボクが…」という伊礼さんを抑えて、ジョンストン家の二階にあるオケブースに向かって、音楽監督を紹介・・・
しようとするも音楽監督の姿がなく・・・もうハケてはったようです・・・何度もお名前を呼んではりましたけどね。
その間に、スタッフがハンドマイクを持ってきたけど、「いらない」という鋼太郎さん。
キャストの方はインカムがあるけど、鋼太郎さんはないので、でも、ちゃんと聞こえてましたよ。さすがです。

時間ないからね、と言いながらキャストを一人一人紹介する鋼太郎さん。
「アンアンブルはみんなオジサンとオバサンたちなんです」 って言うてはりましたよね? 
知ってますよ~~ ハゲてますもん、ロマンスグレイですもん~(苦笑) 
その皆さんが7歳児や15歳の高校生をやったりしてました! ほんとに、すごいです。

拍手の中、キャストを紹介し終えた鋼太郎さんを、すかさず、伊礼さんが紹介しました~~ 上手いなぁ。
カンパニーの仲良し感が溢れてましたね~。

ストーリーとしては陳腐かもしれないけど、音楽も歌も、やっぱり素晴らしい。

日本でも、双子はチクショウ腹と言って忌み嫌われ、富裕家で生まれるとひとりを養子に出すということがあったとか。
(すごい言い方ですよね。動物が多胎なのでそういったんでしょうけど)

生活のために手放した母親も、子どもが授からないからと養子にもらって育てた母も、わが子への思いは同じ。

そして、義兄弟の血の約束をかわした二人は、惹かれ合うように運命に翻弄されるんですね~
同じ日に生まれ、同じ日に死んでいく。

切ないけど、大千穐楽は笑いにもっていかれたかも~

なので、もう一回ぐらい観たかったな。