水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

接吻

2010年05月22日 | 日々のあれこれ
 1946年だから戦後すぐだが、「或る夜の接吻」は映画史上初のキスシーンを描いた作品とされる。
 その瞬間の映像は「映画の歴史」を紹介するテレビ番組で見た記憶がある。
 ヒロインが雨の中で口づけをするシーンで、二人がまさに口唇を接触させようとかという瞬間、傘が倒れてきて二人を隠してしまうという映像だった。
 川柳川柳師匠のCD「映画やぶにらみ」を聴くと、この映画を村中の若者が観に行って、最後の傘のシーンでは「ふざけんな」「金返せ」といった怒号がとびかったという。
 古き良き時代である。
 吹奏楽部父母会を終えて(役員のみなさま、ありがとうございました)、電車で大宮方面へ向かってたら、指扇から乗ってきた高校生のカップルが斜め正面に座る。
 ふつうに仲良く話してる感じで、声も不快なほど大きくはないので、道尾秀介『光媒の花』の世界に入り込もうとして、ふと気づいたら二人は接吻なさっていた。
 おれのとなりにはお父さんと小さな女の子も座ってる。
 思わず「こるぁ! 高校生がそんなことしていいのか!」と声をかけるようなことはなく、ただただ気まずかった。
 時代も変わったものである。
 若かりし川柳師匠がタイムスリップしてきたら、今の世をどう見るであろう。
 だいたい高校時代にそういう行為をすること自体が昔は禁じられていた。
 万が一そのような行為に及ぶ幸甚に恵まれたとして、それが人にばれたなら、最低でも一家村八分ではなかっただろうか。
 今ではこそこそするどころか、電車内で堂々とである。
 本校の生徒同士がそのような行為に及んでいたら、まちがいなく注意したであろう。
コメント (1)
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