水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

2月20日

2014年02月20日 | 学年だよりなど

  学年だより「経験(3)」

 高校時代に大切なのは、「何かをやること」だ。
 そして「何か」と「やること」とでは、「やること」の方が大切だ。
 さやかちゃんもこう言ってたではないか。


 ~ なにも、頑張るそれが「受験」でなくてもなんでもいいと思います。何かひとつやり遂げることって人生何度も経験できるものではないし、こんな私でもそれなりにできたんだから、誰でも本気になればなんだってできるよ! と大声で言いたいです。 ~


 「何か」は究極的には何でもいい。
 経験こそが大事なのだから、極端なことを言えば「学校で」それをやる必要さえない。
 仮に学校を飛び出しても、自分で「何か」を見つけて一心に取り組むことができるなら、ひとかどの人間のなれるだろう。
 ほどほどの努力で手にした学歴より、もっと貴重なものを手に入れられる可能性はある。
 ただし、「何か」がはっきりしないままに、とりあえず学校から飛び出して、たとえばフリーターと言われる暮らしをしながら「何か」を探してても、なかなかいい結果にはつながらない。
 自分が何をやりたいかは、考えてみつかるものではない。
 どの大学に行けばいいかを考えようと受験雑誌を調べてみても(調べること自体は必要だが)、やりたいことが見つかることはない。
 まずやってみることが第一で、その結果失敗することも大切な経験だ。
 高校、大学の時代は、失敗が許されるからこそ、貴重な時代だと言える。
 作家の吉本ばなな氏はこう述べる。


 ~ めちゃくちゃに恋愛したり、挫折したり、スポーツの部活でやっと手にしたポジションを奪われたり、時にはいじめられたり。そういう目にあって、自分の内側に入ってしまい、「うちの子は1カ月も部屋から出てこないの」と親が心配するみたいなことがないと、結局人間は大人になれないと思います。私たちは、どこかで徹底して自分と向き合う時期がどうしても必要だから。
 でもそういう葛藤がなく、子どものまま学校を卒業してしまうと、就職してから、「なんで俺はこんなに大変なんだ」とか、「なぜあんなやつに頭を下げなきゃならないんだ」と感じたりすることが多くなり、やがて辞めてしまったりウツになったりして、また一層落ち込んでいく。だから私は言ってあげたい。もし今あなたが学生なら、いい子で勉強していないで何かにがむしゃらになってくださいと。そうすれば嫌でも自分の限界や能力が分かり、絶望的にがっかりするだろうけれど大人になれる。学生時代というのは、そのためにあります。人間は一度ぐらい深く内側に入る時がないと成長しない。就職前に挫折を通過していて欲しいと願うばかりです。 (吉本ばなな「よしもとばななが語る仕事4」朝日新聞) ~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする