水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

講演会

2014年02月22日 | 日々のあれこれ

 LHR、総合の時間に講演会が行われ、浦和レッズハートフルクラブのキャプテン落合弘氏にお越しいただいた。
 「守破離」を英訳すると「Basic、Challenge、ValueもしくはIndependent」と言うんですよ、まず土台をつくろう、個性はそのあと、というお話は、なるほどと思えた。ちょっと考えさせられたエピソードがある。
 落合氏は、浦和レッズの前身である三菱で長い間活躍し、9年連続で日本リーグのベストイレブンに選ばれ、日本代表のキャプテンも勤めた、いわばサッカー界のレジェンドだ。
 260試合連続出場の記録をお持ちになり、それがとぎれた日のお話だった。
 いつものようにスタメン発表を聞いていた落合氏の耳に、自分の名前がとどかない。
 監督から事前には何も聞いていなかった。おそらくチームの若返りをはかろうとし、その日がおとずれたのだと悟ったものの、自分はまだまだ一線でやれているという自信があった。
 しかし、監督の指示に従うのはプレーヤーとして当然だ。何も言わずに、うまれてはじめてベンチスタートを経験していた。2対0でリードして迎えた試合終了5分前、監督から用意しろと声がかかる。
 自分があえて交代出場するような展開だとは思えず、これは連続試合出場をとぎれさせないための監督の温情だと悟る。
 それには従いたくなかった。しかし監督の指示は絶対だ。
 落合氏は、「はい」と言ってロッカールームにさがり、たっぷり五分間かけて準備をし、タイムアップのホイッスルを聞いたのだった。
 「これがわたしのプライドなんです。温情で連続試合記録を続けるくらいなら、出たくなかった」
 かっこいい … って思った。聞いたときは。
 あとになって少し疑問がわいてきたのだ。
 自分ならどうするかなって。
 たぶん、出るな。ありがとうございます! と言って。
 連続試合出場の記録とか一切関係なく、出さしてもらえる時には出る。
 落合氏が持たれている質の「プライド」は、自分にはまったくないことに気づいた。
 だって、おれ、一流じゃないから。
 温情でもなんでもいい。プレーヤーなら試合に出てなんぼであり、どんなにかっこ悪くても、おれはそっちを優先するタイプだと思った。どちらが「正しい」というものでもないのだろう。
 ただ、そうやって考え直してみると、落合氏が出場し続けた260試合は、その時々の監督さんにとって、全てが純粋な意味でのベストな選択だったのだろうか。
 たとえば252試合目ぐらいの時、迷った方っていらっしゃらなかったのか。
 ほんとは若い選手を頭から使いたいけど、元日本代表キャプテンをはずす勇気がおれにはないなと思われた方はいなかったのかな。なんか、そういうのもあったぽくね?
 そんな可能性を考えた形跡がお話からはうかがえなかったので、落合氏という方は、ほんとにトップの位置に居続けた方なんだろなと思った。
 自分的には、そういう方とは考え方の面で一線を画すタイプで、だからウジウジと小説を読んでるわけで、講演会をする側にまわることは一生ないだろうが、精神的におれ側に近い生徒さんも少しはいると思うので、そういう子の支え役になりたい。

コメント
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