水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

Woody Madmen Orchestra

2014年02月25日 | 演奏会・映画など

 日曜の午後、「ハロー!純一」を観たあと、イオン大井を出て所沢ミューズに向かった。
 本校20期OBサックス藤野君が代表を勤めるバンドの演奏会を聴くためだ。
 バンド名の由来を聞いておけばよかった。「木管狂いの男達オーケストラ」とでも訳せばいいのかな。
 コンサートの1曲目は、この訳し方でいいのかなと思わせる編成、つまり木管(ホルン含む)だけ、男性だけ十数名による演奏だった。バンド結成時が、この形態だったという。曲は団長自身の編曲によるチャイコフスキーの弦楽四重奏曲1番。
 出だしのサウンドを聴いた瞬間、現役部員全員を強制で連れて来てもよかったと後悔した。プログラムが進んでも、その思いは変わらない。
 2曲目は、50人ぐらいのフル編成で「フェスティバル・バリエーション」。吹奏楽をやってれば一度は演奏してみたい曲のひとつだが、それをかなえられる高校バンドは少ない。難しいので。
 それをやすやすと(やすやすではないかもしれないけど)楽しそうに演奏する姿は、うらやましいとしか言いようがない。このメンバーなら、どんな曲でも演奏できるだろう。指揮は20期の学生指揮だった鹿山君で、中央大時代に師事していたはずの時任先生が舞い降りてきたかのようなアツい棒だ。
 大学でも活躍し、そのうえ社会人になってからまでこうやって集まるような人たちだから、技術はもとより、伝わってくる音楽好き好き感覚がはんぱない
 バンドのメンバーみなさんを招いて、一緒に練習してもらえないだろうか。うん、そうしよう。練習場所にはきっと彼らも苦労してるはずだから、日程さえあえばきてくれるだろう。今はMadmenばかりではなく、同世代のきれいなお姉さんたちも大勢いることだし。
 こうして大人になってからも成長していく教え子の姿をみれるのは、この商売のすばらしいところだろう。
 商品とちがって、人は世に出したあと、想像を超えて変化していく。
 「おれが育てた」といばるバカにはならないつもりだが、きっかけを作ってあげたことぐらいは誇っていいのかなと思う。もちろん、好々爺然として見守るような位置にいるつもりもない。こっちも現役ばりばりで負けずに頑張るつもりなので。
 学校にもどり、学年だよりや、授業プリントをつくっていると、彼らが、貸していた打楽器を返しにくる。はれやかな顔をうらやましげに見ながら、がんばって続けていきなよと話をする。
 社会に出て数年、メンバーのほとんどが独身。今はなんでもできるけど、続けていけばメンバーの人生の変化にともなって様々な問題もでてくるだろう。
 今後どうなるかわからないが、こうやって集まった仲間たち、いっしょに「わるさ」した仲間同士は「戦友」になる。地縁、血縁でもなく、職場の一員でもない、こういう結びつきは貴重だ。
 直接的な利害関係のない、だから結びついている必然性はとくにないこういう関係。
 社会学的には「ウィークタイ」とよばれる、こんな仲間が一人でもいると、人生は豊かになる。
 ウィークタイづくりのきっかけや土台になることが、学校の大切な役割だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする