学年だより「将来とは(3)」
数年前までレギュラー放送されていた「エンタの神様」は、今ではほとんど見られない秀逸な「ネタみせ番組」だった。
タカアンドトシ、オリエンタルラジオ、インパルス、ロバート … 、無名時代の彼らが本校文化祭でお笑いライブをし、その後「エンタの神様」を経て大ブレイクしていくという流れもあった。
常連メンバーだったアンジャッシュは、「エンタ」ならではのネタを発揮して一躍名を馳せたコンビだが、人気絶頂の中で、渡部健さんは、「この人気はずっとはつづかない」と考え、「売れなくなったときのために、何か資格をとっておこう」と考えたという。
渡部さんがそこで選んだのが「第一回夜景検定」だ。
~ たまたま新聞で「第1回夜景検定」という募集を見て、「面白そうだから、受けてみよう」ということで受けたのです。
実際に、渡部さんは勉強してこの資格をとりました。
第1回ということもあって、合格についての取材や、検定にまつわる番組の依頼がたくさん来るようになったそうです。
渡部さん自身は、人気があるからその検定を受けたわけではありません。
評価が確定していない第1回目の検定や人気のない資格にこそ、稼げるチャンスがあるのです。 (中谷彰宏『「学び」を「お金」にかえる勉強』水王舎) ~
ふつうに考えて、「夜景検定」の資格をとったからといって、収入の足しになるとは思えない。
誰もが知っている、いかにも安定した収入を得られそうな資格をとろうと人は発想しがちだ。
しかし、人気の資格とはすでの多くの人が取得し、それをもとにバリバリ稼いでいるものだ。
いわば「レッドオーシャン(競争の激しい市場)」であり、「その資格さえ持っていれ大丈夫」という状況にはならないのだ。
需要よりも供給が少ない、人気のない資格をとろうとした、渡部さんのような発想ができる人が、将来「稼げる」人になれるのだと言える。
もちろん、渡部さんは、純粋に夜景検定3級をもっている人というだけで番組によばれたのではない。お笑いネタや、MCの十分な実力を持っていたことは大前提だ。
「理系の方が就職がいいと聞いたから」という理由を、文系・理系選択の条件にしようとする人を毎年見かける。
現実には、「理系だから」いい就職ができるということは、一切無い。
それぐらいの理由で理系に進み、理系の学問をいかした就職をした先輩の例もない。
有名な最難関大学に行きさえすればどこにでも就職できるという時代でもないことも、卒業生たちの話を聞くとわかる。
「いい」大学に合格すれば、難しい資格さえとれれば、将来は安定だという時代ではなくなっていることを前提にして、将来を考えないといけないのだ。