3学年だより「人生のコスパ」
朝日新聞の「悩み相談コーナー」にこんな相談が寄せられた。
~ <相談文> 現在、夫婦共働きで3歳の息子と0歳の双子を育てています。正直仕事をしながらの3人の子育てはとても大変で、妻も殆(ほとん)ど眠らずに毎日頑張っています。
こんな生活があと何年間も続くのかと思いながら、最近よく考えてしまいます。
… 「子供が可愛い」というのは分かっていても、子育てにはたくさんの労力・時間・お金がかかります。私もそれらを自分の為に使えたらと考えてしまう時があるのですが、それは親として無責任過ぎるでしょうか? … 子育てというのはコスパが悪いのでしょうか? ~
「コスパ」、つまり「コストパフォーマンス」は「費用対効果」「対費用効果」と訳される。
どれだけの費用(コスト)をかけて、どれだけの効果(パーフォーマンス)を生み出すかという数値だ。いろんな場面で用いられる。
値段が安くて性能のよい製品は「コスパが高い」と評価され、巨額の投資を行ったのに期待していた利益を生み出さない事業は「コスパが悪い」と言われる。
5000円のゲームソフトを奮発してつまらなかったら腹が立つが、500円でおいしくてお腹いっぱいになれる定食屋さんはうれしい。
100時間勉強したぐらいでは偏差値が上がらない科目より、10時間やると目に見えて成果のあがる科目があれば、コスパのいい科目と言ったりする(ないけど)。
そういう感覚で「子育て」を考えたときはどうだろう。
実感しにくいだろうが、コスパという概念を持ち込むこと自体が違うのではないかと、多くの大人は思うはずだ。いや、みなさんも考えてみるといいかもしれない。オギャーとこの世に生を受けて以来、約18年の人生を過ごすにあたり、どれだけのコストがかかっているか。
そしてそのコストを負担した親御さんが、どれだけのパフォーマンスを獲得したかを。
岡田斗司夫氏はこう答える。
~ <回答文> コスパとは「投資に対して得られるものが同じ」時に、使える考え方です。たとえば「白菜なんてどれも同じ」と考えるなら、そりゃ安い方が良い。同様に「別に人生なんてどう生きたって変わりない」と考えるなら、そりゃ投資効率だけで考えるのが正しい。これが「コスパを前提とした人生観」です。
ところが、そう考えるとスポーツ選手やアーティストは「ものすごくコスパの悪い人生」です。成功が保証されてないのに、子ども時代から遊ぶ時間を削って打ち込む。プロになれれば良いけど、99%の人はどっかの段階でプロを断念します。 ~
子育ては、基本的に断念することすら許されない。