水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

基本とメンタル(2)

2017年12月09日 | 学年だよりなど

 

    3学年だより「基本とメンタル(2)」


 受験には「図太い」神経が必要だ。
 乗り慣れない電車に乗り、はじめて入る建物の、慣れない机で問題を解く。
 自分の机にだけ小さな疵があるかもしれないし、イスがガタガタ動くかもしれない。暖房が強すぎる場所になるかもしれないし、トイレの臭いが気になる席かもしれない。
 隣に座った受験生が、妙に落ち着かない奴だったり、態度がでかかったり、筆圧が強くて机を揺らされたり、香水のきつい女子だったり、やたら鼻をすすっていたり … 。
 地下鉄を乗り間違えて、開始時間ギリギリに到着することになるかもしれないし、急にお腹の具合が悪くなったのにトイレが見つからないかもしれない。
 開始の合図で問題冊子を開くと、過去問からの予想とは100%異なる内容だった、なんてことも「体感的」にはあるものだ。
 ふだん考えられないようなことが起きるのが「本番」だといっていい。
 何があっても動じない人というのは、たぶんいない。動揺している状態のなかでも、その時点での最善を尽くそうと思える心が必要だ。そういう図太さを「胆力」とよぶ。
 そういう心を得るための特効薬はない。毎日学校に来て、何があっても平然とやるべきことを積み上げていくことでしか作れないのだ。毎日学校に来て、ほんの少しずつの負荷を自分にかけ続けることでしか作れない。


 ~ 自分に負荷をかけると成長する、私はそう思っています。でも、どうやって負荷をかけたらよいのでしょうか。イヤなことを無理してやるとか、そういうことではない気がします。多分、やりたいと思っていることを、恐れずにやること。好きなことだったとしても、それをするときには必ず、大小はあれ、ぶちあたる壁がやってくる。それから逃げないことかなあと思います。つまり「やりたいことを、できないと言い訳せずにやること」。それが自分に負荷をかけるということなんじゃないかなあ。(中略)
 体の筋力も、急にはつかず、徐々に鍛えるように、心の筋力も、ゆっくりとついていくのですね。筋トレは、筋肉の繊維を切るほどの負荷をかけて、再生するときにさらに太くなるといいますが、心だって同じなのでしょう。負荷をかけることで、だんだんと、強くなっていく。ゆっくりゆっくり、心の筋力は、ついてくる。焦らなくても大丈夫。徐々に強い自分になれるはずです。 (和田清華『その夢はいつやるんですか?』ゴマブックス) ~


 雨でも雪でも寒くても授業がなくても面倒くさくても、学校に来て、元気よくあいさつし、問題を解き、ときには友達と話し、しっかり食べる……という日常の積み重ねこそが、メンタルをつくり、自分を成長させる。なんてありがたいことだろう。

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