3学年だより「時間との闘い」
秋まで試合が続いていた人もふくめ、部活動は全員が引退していると思う。
三年の最後の大会の直前、みなさんはどんな練習をしていただろうか。
できるかぎり本番に近い状況を設定し、最後のつめを行っていたはずだ。
対戦相手のビデオを見てイメージトレーニングした人もいるだろう。
試合当日のタイムテーブルにあわせて、何日も前から起床時間をずらしたり、食べる物を吟味した人もいるだろう。
入試も同じだ。いかに本番を想定した形で勉強を積み重ねていけるかが大切になる。
そのためにまず考えないといけないのは、時間感覚だ。
「センターで失敗しました」と悔やむ先輩たちの多くが第一にあげるのは「時間不足」だった。
しかし、これはすなわち準備が足りなかったということでもある。
たとえばセンターは、80分、60分と決まっていて、どういうタイプの問題が、どの程度出題されるかは、すべてわかっている。
かりに予想に反した内容の問題が出題されたにしても、時間と形式は変わらない。
センター試験当日に目にする問題は、その新鮮さと、本人の精神状態ゆえに、すべてが新傾向の想定外問題に見えることさえある。
「こんな問題は見たことがない」(あたりまえなのだが)と動揺しているうちに、時間が足りなくなってしまう。あげくのはてにマークする欄を間違えたりする。
模試や練習で一回もしたことのないようなミスを本番だけおかしたりもする。
~ センター試験も速さとの戦いだ。英語や国語の解答時間は80分しかない。これが120分だったら平均点は大幅に上がる。「時間がなかった」はセンター試験では言い訳にしかすぎない。「時間がない」は「力がない」の同義語である。センター試験で失敗する理由の一つは、ふだんから時間を計って過去問を解くという、当たり前のことをやっていないからだ。
……時間切れを防ぐには、必ずストップウオッチで時間を計って問題を解き、日常の勉強で本番の緊張感を演出しなければならない。センター過去問演習にストップウオッチは必需品だ、陸上部でストップウオッチ無しの練習は考えられないように。 (笠見未央『センター前ヒット センター試験でこけない68の法則』高陵社書店) ~
笠見未央先生は、こうも言う。
~ 「センター試験に対して臆病になれる受験生は強い。」 ~
センター試験に対する「恐怖があるからこそ、日常の勉強で『本番モード』を演出し、本番で不測の事態が起きることを防ぐ」ことができるという。
最後の大会前の自分を思い出そう。「練習は試合のように、試合は練習のように。」