水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

迷ってこそ

2021年04月07日 | 学年だよりなど
1学年だより「迷ってこそ」


 入学おめでとうございます!
 今みなさんは、新生活に心躍らせ、明るい未来を夢見ている状態だろうか。
 中には、自分に与えられた道に素直に納得できていない人もいるかもしれない。
 何部に入って頑張ろう、○○大学を目指して勉強しよう、たくさんの新しい友人を作ろう、できれば彼女ができてリア充になりたい……。
 現時点で考えている高校生活が、思い描いたとおりに進んでいくようであれば、それは幸せなことだろう。しかし現実は、なかなかそうはいかない。
 「勉強と部活動の両立」と口で言うのは簡単だが、実際の負荷がどの程度のものか想像できない。
 どのくらいの頑張りで、どれくらいの成果があがるのかは、やってみないとわからない。
 どうなりたいのかをイメージできても、そうなれるかどうかは、やってみないとわからない。
 新型コロナ感染症専門家会議の尾見茂氏はこう述べている。


~ 若者にとって青春とは、如何(いか)なる“季節”、“時”であろうか?
「得(え)手(て)に帆を挙げよ」と言われる。けだし名言だが、人生の入り口に立つ若者にとって、自分の“得手”は簡単にはわからない。自分は何に向いているか? 何を一生の仕事にしたいのか? そもそも自分には得手があるのか?
「迷い」は青春の特徴だ。迷わない若者は、真の天才か、よほどの能天気だ。
 ほとんどの若者にとって青春時代とは、言葉の持つイメージに反し、思い悩み、試行錯誤する“季節”、“時”と言える。 (尾見茂『WHOをゆく: 感染症との闘いを超えて』医学書院) ~


 将来どうなりたいか以前に、勉強についていけるのか、友達ができるのか、学校になじめるのかというような、目先の不安を感じている人もいるだろう。
 思い悩んだり、不安を感じたりするのは、先が読めないからだ。
 逆に考えると、自分次第でどうにでもできるからだということもできる。
 先日卒業していった35期生たちは、入学した頃に想像した自分と、卒業時の自分との間にどの程度の違いがあっただろう。
 たとえば、ほとんどのメンバーが高校から競技を始めたラグビー部員たちは、入部した当初は、花園の舞台に立つ自分をイメージしていなかったにちがいない。
 勉強との両立に悩みながらも、懸命に取り組んだ結果、入学時には予想もしない自分を手に入れた先輩たちはたくさんいる。
 先が見えないということは、自分で先をつくれるということだ。
 予想していないこと、思ってもいなかったことにチャレンジできるのが今なのだ。
 そう考えると、迷いや不安は、青春の特徴どころか、特権であり、幸せだ。
コメント
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