水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

文武両道

2021年04月13日 | 学年だよりなど
1学年だより「文武両道」


 「文」は勉強をしっかり頑張ること。身近な目標としては、志望する大学に合格するという形になるだろう。部活動、生徒会活動などの勉強以外の分野をすべてひっくるめて川東では「武」と扱うが、「文」をおろそかにすることなく「武」にも力を注ぐことを「文武両道」という。
 ただし、その成果は目に見える形としては獲得できないこともある。
 人一倍勉強して希望が叶わないこともあれば、誰にも負けない練習をしてレギュラーになれないこともある。
 誰もが称賛するような結果を手にすることができなくても、チャレンジした「からだ」が残る。やるだけやったという「思い」が残る。負けた経験は「優しさ」を作る。
 最初から無理と諦めていたり、ほどほどでしか取り組ない場合は、後悔が生まれる。うまくいった人を揶揄したりするようにまでなると、かっこ悪い。
 やろうと思えばやれる環境に身を置いたならば、思い切ってやってみるべきだ。
 そうしてチャレンジできること自体が幸せだが、決して自分のためだけにそうすべきなのではない。社会学者の上野千鶴子氏は、東大に入学式に招かれ、「祝辞」でこう述べられた。


~ あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
 あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶(おとし)めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。 (上野千鶴子「東京大学入学式祝辞」平成31年4月12日) ~


 力のある人が重い荷物をもってあげるのは「あたりまえ」だ。
 健康な人が病気の人を助けるのは「あたりまえ」だ。
 自分の力を自分のためだけに使おうとするような小さな男は、かっこよくない。
 誰かのために多少ムリしてがんばってしまう男の方が、かっこいい(って女子は言うみたいだ)。
コメント
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