1学年だより「遺伝子の「on」「off」(2)」
DNAのうち、遺伝情報そのものを持つ遺伝子の占める割合はわずか2%だという。
遺伝子には、「目を作る」「耳をつくる」「心臓を作る」など、体を作るための基本的な設計図が暗号で記されていることは、中学校でも習っただろうか。
それ以外にも、ひとりひとりの才能や性格、体質や病気に罹りやすさなどを決める情報が書き込まれている。記憶力、持久力、音楽の才能、運動の才能、人付き合いのうまさ……。
まさに人の運命を左右する情報だが、それらがどの程度読みとられ、どの程度発現していくのか。
読み取り具合をコントロールするのは、DNAの遺伝子以外の部分だ。
だから、宝の山が眠る「トレジャー(宝物)DNA」とよばれることもある。
わたしたちの身体や能力がどうなるのかは、DNAがどのように働くかによって決まる。
たとえば人間は、誰もが「病気を防ぐ遺伝子」を持つ。しかし、何らかの事情でその遺伝子の働きが失われてしまうと、がんや糖尿病になる。ちょうどスイッチがオフになっているような状態だ。スイッチをオンにもどせるなら、治療が可能になるということだ。
~ たとえば、「音楽能力アップ」にかかる遺伝子。実は、こうした遺伝子自体は私たち全員が持っています。でも運命を左右するのは、そのスイッチがオンかオフかということなのです。(実際には、音楽の能力には多数の遺伝子がかかわっていますし、しかもスイッチにはオンとオフ、1と0のデジタルな状態だけではなく、「少しオン」などの中間の状態も存在します。しかし、それを言い出すと複雑すぎますので、ここではまず基本的な仕組みを理解していただくために、単純化したモデルで説明しています)。
この“DNAのスイッチ”という言葉は、専門用語として存在しているわけではありません。専門的には「エピジェネティクス(後成遺伝学)」と呼ばれる分野で、遺伝子の働きを後天的に変える仕組みのことです。(NHKスペシャル「人体」取材班『シリーズ人体 遺伝子』講談社) ~
圧倒的にすぐれた歌や演奏を聴いたとき、とんでもないダンスパフォーマンスをみたとき、そういう遺伝子を持っている人なんだろうなと私たちは感じる。
しかし実際には「持っているから」ではなく「働いているから」なのだ。
人が成長していく過程で、生まれ持った遺伝子そのものは変わらない。
DNAのスイッチが働くことで、遺伝子がオンになったりオフになったりもする。
専門的に言うと「DNAにメチル基などの化学的修飾が付加して、構造的な変化が起きることによって、遺伝子の発現(働き)が」変化する、それが「遺伝子オン」の状態だ。
遺伝子をオンにしたりオフにするスイッチを研究する「エピジェネティクス」という学問は、現在急激に発展している。
DNAのうち、遺伝情報そのものを持つ遺伝子の占める割合はわずか2%だという。
遺伝子には、「目を作る」「耳をつくる」「心臓を作る」など、体を作るための基本的な設計図が暗号で記されていることは、中学校でも習っただろうか。
それ以外にも、ひとりひとりの才能や性格、体質や病気に罹りやすさなどを決める情報が書き込まれている。記憶力、持久力、音楽の才能、運動の才能、人付き合いのうまさ……。
まさに人の運命を左右する情報だが、それらがどの程度読みとられ、どの程度発現していくのか。
読み取り具合をコントロールするのは、DNAの遺伝子以外の部分だ。
だから、宝の山が眠る「トレジャー(宝物)DNA」とよばれることもある。
わたしたちの身体や能力がどうなるのかは、DNAがどのように働くかによって決まる。
たとえば人間は、誰もが「病気を防ぐ遺伝子」を持つ。しかし、何らかの事情でその遺伝子の働きが失われてしまうと、がんや糖尿病になる。ちょうどスイッチがオフになっているような状態だ。スイッチをオンにもどせるなら、治療が可能になるということだ。
~ たとえば、「音楽能力アップ」にかかる遺伝子。実は、こうした遺伝子自体は私たち全員が持っています。でも運命を左右するのは、そのスイッチがオンかオフかということなのです。(実際には、音楽の能力には多数の遺伝子がかかわっていますし、しかもスイッチにはオンとオフ、1と0のデジタルな状態だけではなく、「少しオン」などの中間の状態も存在します。しかし、それを言い出すと複雑すぎますので、ここではまず基本的な仕組みを理解していただくために、単純化したモデルで説明しています)。
この“DNAのスイッチ”という言葉は、専門用語として存在しているわけではありません。専門的には「エピジェネティクス(後成遺伝学)」と呼ばれる分野で、遺伝子の働きを後天的に変える仕組みのことです。(NHKスペシャル「人体」取材班『シリーズ人体 遺伝子』講談社) ~
圧倒的にすぐれた歌や演奏を聴いたとき、とんでもないダンスパフォーマンスをみたとき、そういう遺伝子を持っている人なんだろうなと私たちは感じる。
しかし実際には「持っているから」ではなく「働いているから」なのだ。
人が成長していく過程で、生まれ持った遺伝子そのものは変わらない。
DNAのスイッチが働くことで、遺伝子がオンになったりオフになったりもする。
専門的に言うと「DNAにメチル基などの化学的修飾が付加して、構造的な変化が起きることによって、遺伝子の発現(働き)が」変化する、それが「遺伝子オン」の状態だ。
遺伝子をオンにしたりオフにするスイッチを研究する「エピジェネティクス」という学問は、現在急激に発展している。