水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

遺伝子の「on」「off」

2021年04月23日 | 学年だよりなど
1学年だより「遺伝子の「on」「off」」


 「ドラゴン桜」が共感をよんだのは、「受験で勝者になれ」というシンプルなメッセージと、「誰でも勝者になれる」という可能性が示されていたからだろう。
 勉強ができるできないは、しかも東大に入れるか入れないかレベルで考えたとき、そこにはやはり遺伝の壁が存在すると多くの人は考えがちだ。
 「みんながみんな、勉強ができるようになるわけではない、やはり持って生まれたものが大きいはずだ」との。
 遺伝か環境か。人間の成長を規定する要素は何かと、古くから議論され研究されてきた。
 環境の大切さは言うまでもないとしても、遺伝によって決定するものについては、努力や教育でいかんともしがたい部分も大きいと考えられてきた。
 背が高いとか、顔立ちとか、足が速いとかについては、「あの親の子供だからね」と結論づけられる。勉強ができるできない、歌がうまい、サッカーが上手といった面も同様に考えられてきたのではないだろうか。
 しかし、近年の研究で、そうではないことが明らかになっている。
 人間は、もっている遺伝子自体はそんなに変わらない。
 遺伝子の各部分をどう発現させるかで個性が決まるというのだ。
 そして、この世に生を受けてからの生活習慣によって、その発現度合いは変化する。
 父親の精子に含まれる遺伝子をトレーニングで変化させ、結果としてうまれてくる子供の遺伝子に影響を与えることさえ可能だという。


~ 「運命」という言葉には、自分で変えられない、逆らいようにない、「神様の決めた定め」という意味合いが含まれています。
 この「運命」という言葉が持つ決定論的な意味合いは、遺伝子やDNAの持つイメージと、分かちがたく結びつきました。遺伝子の研究が進んで、その重要性が次々と明らかになるにつれ、生まれ持った遺伝子こそがさまざまな能力や性格、体質や病気のなりやすさなどを決めるものであり、「まさに運命を決めるものの正体のひとつ」と考えられるようになったのです。
 しかし今、最先端の研究は、その常識、遺伝子に対する固定観念を覆しつつあります。これまでは「生まれ持った遺伝子は死ぬまで不変」であり、だからこそ「運命を決めるもの」と考えられてきましたが、実は遺伝子には「その働きを根本的に変える仕組み」、いわば“運命を変える仕組み”があることがわかってきたのです。(NHKスペシャル「人体」取材班『シリーズ人体 遺伝子』講談社) ~


 遺伝子の働きは、食事や運動の生活習慣、どんな本を読むか、どんな人と付き合うかによって劇的に変化する。
 遺伝子の働きをon(オン)にする、off(オフ)にするスイッチが人に備わっているからだ。
 だから全く同じ遺伝子をもって生まれた二人でも、その後の人生は全く別物になる。
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