水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

アオのハコ

2021年04月15日 | 日々のあれこれ
 小説や映画の舞台が、土地勘のある場所だと、親近感がわく。
 たとえばミステリー系の作品の舞台が六本木なのか川越なのかで、犯罪の質が違う感じがする。
 高村薫の『冷血』だったかな、国道16号線沿いを舞台にした犯罪が描かれてた。物流の中心としての16号、都会と田舎の微妙なはざまに位置するいくつかの町での光景。
 実家暮らしの人生だったらおそらく感じられなかったあろう作品の機微を読めた気がした。
 映画「あのこは貴族」では、主人公の水原希子さんは富山出身の設定だった。慶應に受かって上京して目にする東京の町並み……という画が、彼女の視点か自分の視点かわからないように感じられ、しみじみした。
 逆にいうと、外国作品ではそういうのがわからないのが辛い。
 主人公の住む町や村がどの程度田舎なのかの都会なのか、どういう階層の人が住んでそうな町なのか、邦画ならざっくり感じられる情報を持てないのだ。
 センター試験の小説で微妙に古い作品が出題されたときに、出題者と高校生の間に大きなギャップがあって解きにくいのも同じ感覚かもしれない。

 さて、土地勘ばりばりで驚いたのが、「少年ジャンプ」新連載の「アオのハコ」。
 三浦糀さんという新進の漫画家さんが描く、青春部活ラブストーリー。
 本校にばかでかい体育館があることを知り、以前取材にこられたそうだ。
 でもラブストーリー? うちが舞台で?
 まあ、ないことはないのかもしれないけど……。
 スポーツ強豪校で、共学の中高一貫「私立栄明中学高等学校」が舞台と設定されている。
 うちが背景で名前が栄? えいめい? いろいろぶちこんできたなあ。

 取材がどのくらい反映されるのかと思って見てみると、めちゃくちゃそのまんまだった。
 100%本校の体育館や校舎の外形であるとわかる背景が描かれている。
 とくに体育館内部など、移動用ステージが保管されている状況まで「完コピ」されてる。
 ネット上では、気づいた本校OBたちの間で騒然となっている。
 「この学校川東じゃねぇか!」「でもなんで女いるんだ?」「きらきらした青春なんてなかったぞ!」……
 さもありなん。
 でも、青春てキラキラする? 
 この物語にしても、バドミントン部の猪俣くんと、彼が憧れるひとつ上の千夏先輩が登場する。
 ほのかな思いを伝えたいと思いながら、父親の海外転勤で彼女は転校してしまうという情報を耳にする。
 と思いきや、なんと先輩が……。千夏先輩、なんでここに!
 と大展開を見せ、第一回は終わる。
 さて、どうなっていくのかな。キラキラより悶々としないか? その方が正しい青春のような気がするのだが。
 いまの「ジャンプ」はこういう感じの、むしろ少女漫画雑誌に載るぽいのが連載されるんだと驚いた。
 「アストロ球団」や「男一匹ガキ大将」の時代じゃないんだね。
 「はだしのゲン」「庖丁人味平」「プレイボール」……とか読んだなあ。
 でも、毎週チェックせざるを得ないではないか。
コメント
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