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レッド・マスカラの秋 永井するみ
「カカオ80%の夏」の続編ということでかなり期待して読んだ本書。インパクトはやや前作には及ばないものの、主人公の行動や思考を通して、現在の若者を描き出している点では、前作同様大変興味深く読むことができた。読んでいると、身の回りにあるものが我々の若い時と違う現代の若者の思考回路のようなものが自然と伝わってくる。主人公はどんな使命感を持って事件に首をつっこむのか、若者が感覚的にとらえる友人同士との「貸し借り」の感覚とはどのようなものか、そうした若者の内面が、前作・本作と2冊読んできてかなり見えてきたような気がする。「夏」「秋」ときたので、少なくともあと2冊「冬」「春」とシリーズが続くと期待される。前作に比べてやや事件の謎が小さくなった気がするが、その一方で主人公は「謎解き」の楽しさのようなものを感じ始めているだろうか、自分のことを「女探偵の卵?」と表現する場面がある。このままミステリー度が薄れていくのか、再度ミステリー度を増していくのか、今後が楽しみなシリーズである。(「レッド・マスカラの秋」永井するみ、理論社)
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