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デビッド・カルダー サイン 007ワールドイズノットイナフ

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人くい鬼モーリス 松尾由美
我が家では昨年から理論社のカレンダーを壁に貼って使っている。デザインが楽しくて、毎日見ていても飽きない。昨年もそうだったが、年末になると、来年のカレンダー欲しさに同社の本をまとめて直接理論社に注文するようになった。本書もそうして入手した本の1冊なので、本屋さんで面白そうだったとか、書評を見て評判だったからというのとは少し違う理由で購入したものである。しかしそうした本書だが、読んでみるとなかなか面白いではないか。動物の死体を食べて生きている「モーリス」という怪物がいる。モーリスは自分から動物を殺しはしない。何らかの理由で死んでしまった動物の死体を食べるだけだ。それから、この「モーリス」は不思議なことに子供には見えるのだが大人には見えない。その「モーリス」が住んでいるところで、殺人事件が起きたらどうなるか。モーリスが見えない大人には、死体が突然消えてしまったようにみえる。そこで、大人達は「死体を隠すことができた人物」を探すことに捜査の主眼をおく。一方、「モーリス」が人間の死体を食べてしまったことを知っている「子供」達は、別の観点から犯人探しをする。主人公(子供の探偵)には登場人物の誰がモーリスが見えて誰が見えないのか判らないという要素もあって、結構複雑なミステリーなのだが、それが実に判りやすく面白くストーリーが展開されていく。「夜に大雨が降って道路が遮断され現場が陸の孤島になる」というミステリーの常套手段が使われていることや、そもそもの「モーリス」という生物の設定など、ある意味かなりご都合主義的な様々な設定が多いが、なんとなくそれが許せる文章の雰囲気がある。最後の謎解き部分がかなり駆け足なのが少し気になるが、作者の書きたかった部分は十分に書かれているのだろう。読者も作者も満足できる作品だ。(「人くい鬼モーリス」松尾由美、理論社)
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