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印象派はこうして世界を征服した フィリップ・フック

印象派の絵画が、世界中で持て囃され、高値で売買されている理由を、英米独仏のコレクターの嗜好や時代背景を絡めて、様々な観点から考察している本書。掲載されている図版がカラーでないのが残念だが、印象派出現当時の各国の美術関係者の反応、取引の実態が、関係者の証言、手紙などの資料を元に精緻に描かれている。それにしても、印象派の絵画を巡る反応にそれぞれのお国柄が色濃く出ているのが面白い。また、印象派絵画の人気の秘密とは、結局、美の感性、富の象徴、進歩主義の具現ということに尽きるのだが、それに加えて、各国の政治情勢や経済情勢が密接に関わっているということが良く判って大変興味深かった。(「印象派はこうして世界を征服した」フィリップ・フック、白水社)
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