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ブレイズメス1988 海堂尊
本書が「ブラックペアン」の続編であることは読み始めた段階では気づかなかったのだが、主人公の「世良」という名前が何となく記憶があったのと、佐伯、高階、桐生といったこれまでの著者の本にでてきた記憶がある名前がそこかしこにでてくるので、本箱を調べてみて合点がいった。本の装丁も一緒で、内容も「ブラックペアン1988」の2年後という想定である。「ブラックペアン」の続編ということは、「バチスタ」シリーズとも深い関係がある。本書の主人公の「世良」は、「バチスタ」の主人公「田口医師」の指導医、「ジェネラル・ルージュ」の速水医師の指導医でもある。高階医師は当然「バチスタ」の高階病院長だし、藤原看護師はあの藤原さんだ。そして、バチスタ手術の名手「桐生医師」も本書で1回だけちらりと出てくる。そこまで判ると「バチスタ」ファンにはそれだけで嬉しくなる。こうしたことをすぐに思い出せなかったのは、私の記憶力の問題もあるのだろうが、著者の作品を沢山読みすぎていること、そしてそれらの本の時系列がいろいろ前後していることなども原因としてあるような気がする。
話は、ある天才心臓外科医が日本の学会で初めて「公開手術」を行うという「事件」を通して、医療という社会の問題点とそれが少しずつ変わっていくかもしれないという希望を描いた小説である。ストーリーの95%以上が、どのようにしてその「公開手術」が企画され、どのような準備されたかであり、「公開手術」後の話は5%にも満たない。それでいながら、何故こんなに面白いのか不思議なくらい面白い。面白さから言うと、これまで読んだ著者の本のベスト5に入るくらいの感じだ。
本シリーズは、バチスタシリーズの約20年前の世界が描かれている。この2つのシリーズがこれからどのように繋がっていくのか、それが楽しみだ。それにしても、本書で出てきた「ハート・センター」はこの後どうなったのだろう。バチスタシリーズの既刊本のなかですでに描かれているのかもしれないが、昔読んだ本を調べるのも面倒だし、そのあたりは本書の続編を待っていれば良いようにも思える。著者の筆の速さ、新刊がでるスピードには驚かされるが、色々な本のつながりを早く知りたい読者には有難いことだ。(「ブレイズメス1990」海堂尊、講談社)
話は、ある天才心臓外科医が日本の学会で初めて「公開手術」を行うという「事件」を通して、医療という社会の問題点とそれが少しずつ変わっていくかもしれないという希望を描いた小説である。ストーリーの95%以上が、どのようにしてその「公開手術」が企画され、どのような準備されたかであり、「公開手術」後の話は5%にも満たない。それでいながら、何故こんなに面白いのか不思議なくらい面白い。面白さから言うと、これまで読んだ著者の本のベスト5に入るくらいの感じだ。
本シリーズは、バチスタシリーズの約20年前の世界が描かれている。この2つのシリーズがこれからどのように繋がっていくのか、それが楽しみだ。それにしても、本書で出てきた「ハート・センター」はこの後どうなったのだろう。バチスタシリーズの既刊本のなかですでに描かれているのかもしれないが、昔読んだ本を調べるのも面倒だし、そのあたりは本書の続編を待っていれば良いようにも思える。著者の筆の速さ、新刊がでるスピードには驚かされるが、色々な本のつながりを早く知りたい読者には有難いことだ。(「ブレイズメス1990」海堂尊、講談社)
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