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怖い絵2 中野京子 

著者の「怖い絵」シリーズはこれで新書版を入れて3冊目。取り上げる絵の選択が、あまり有名すぎず、かといってあまりマニアックでもない、素人絵画ファンにはちょうど良い感じの絵が並んでいて感心する。著者の文章を読んでいると、絵画を言葉にしてあらわすその言葉使いが実に平易で判りやすい。絵画に関する本を読んでいると、絵のどの部分を言っているのかよく判らないような独りよがりの比喩や絵画の知識がなければ判らない表現が使われていて、歯がゆく感じることがよくある。「自分にはこう見える」という主張が強すぎて、読者にそれが伝わらないのだ。本書の場合は、現物の絵を見ながら読めば、著者がどの部分のことを言っているのかがよく判るので大変有難い。文章としては当然のようなことなのだが、こうした判りやすさが本書の最大の魅力だと感じる。(「怖い絵2」中野京子、朝日出版社)
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