goo

文化のための追及権 小川明子

聞きなれない「追及権」という言葉に惹きつけられて読むことにした。最初の3章までが一般的な「著作権」に関する解説で、第4章からが、その著作権を進化させたような内容の「追及権」に関する解説になっている。著者の問題意識は、小説家や作曲家に比べて画家に対する権利の保護が不十分なのではないかという素朴な疑問から始まっている。言われてみれば、長期間印税などの収入の可能性がある小説家に比べて、画家はいったん売却してしまうとその後、その作品がどのように評価が高まっても画家に見返りがもたらされることがない。言われてみれば確かに不公平な気もする。本書では、そうした不公平を是正するための「追及権」に関する世界各国の最前線の動きなどが判り易く解説されていて、大変参考になる。(「文化のための追及権」 小川明子、集英社文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )