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萩を揺らす雨 吉永南央

主人公の喫茶店を営むおばあさんが、店のお客さんや友人を巡るちょっとした謎を解き明かしていくという設定の短編集。最近は毒にも薬にもならないと判っていて安心して読める本ばかりを選んで読んでいるような気がする。本書も予想通り、小さな日常の謎とその種明かしを通して垣間見える人情話が中心になっていて、内容自体もどうということもないのだが、そこに描かれている登場人物である老人たちの心境とか社会とのかかわりのようなものは、かなり心に残る内容だ。最近、年だなぁと思うことが多くなっているせいかもしれないが、そうした話を読むと、身につまされる思いがする。(「萩を揺らす雨」 吉永南央、文春文庫)

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