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ツチヤの貧格 土屋賢二

著者の作品をだいぶ読んできて、いつも気になっていたのは、作品の巻末に掲載されている「解説」の面白さである。著者の本を読む楽しさの1つが、本文を読み終えて解説を読むときだ。本毎に、著者の作品のファンと思われる有名人やそうでもない人がその面白さを色々披露してくれていて、同じファンとして、こういう読み方もあるなぁと共感したり感心したりできるのだ。。著者の作風が非常に独特なのでそれに負けないように個性的な文章にしたいという解説者の意気込みが伝わってくる。また、著者の作品がユーモアたっぷりなので、もちろん堅苦しい解説は似合わないし、むしろユーモア満載でなければファンとはいえない。しかも、これまでに書かれた解説と同じような論旨ではいけない。著者の本の解説を書くのは本当に大変なことで、それだけに名文が多いような気がする。著者の本の解説だけで1冊の本になるのではないかという気さえする。そうした多くの解説のなかでも、本書の解説は大変印象に残る名文であるような気がした。(「ツチヤの貧格」 土屋賢二、文春文庫)

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