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大発見の思考法 山中伸弥・益川敏英
本書を入手したのは、10日くらい前だったと思うが、驚いたことに、著者の略歴の欄に「2012年ノーベル賞受賞」と書かれていた。受賞のニュースを受けて、即座にカバーを新しくしたのだろうが、それにしてもその素早さに驚かされる。内容は、山中教授の話が6割、益川教授の話が4割という感じで、どちらかというと山中教授の比重が大きくなっている。やはりiPS細胞の話の方が判り易くて面白いからだろう。山中教授に関しては、受賞後のTVで色々見ていたので、本書に書かれたエピソードなども既知のものもあったが、やはり本人の語りを読むと、迫力があって段違いに面白い。iPS細胞を命名する際に「I-Phone」を参考にしたというのは有名な話だが、聞き役に回った益川教授が、山中教授以上に面白い名前を付ける名手だということを、本書を読んで知った。益川教授が「これこれこうしたことを私は「○○」と呼んでいる」と言う箇所がいくつもある。記憶にあるだけでも「科学疎外」「へたな鉄砲原理」「秀才病」「眼高手低」「積極的無神論者」などなどだ。本書の中でも「プレゼン」の大切さが語られているが、2人の大科学者が揃って「ネーミングの名手」というのが大変面白い。受賞後の益川教授は「頑固だが意外におちゃめ」という印象を日本中に与えたが、本書でもそのキャラクターは変わらず、山中教授に質問するところなどは、ほとんど一般人のインタビュアーのようで、偉ぶらず子どものような好奇心で聞いているなぁという感じだ。(「大発見の思考法」 山中伸弥・益川敏英、文春新書)
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