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ふくわらい 西加奈子

著者の本はこれが3冊目だと思うが、これまで読んだ2冊はいずれも、子供を主人公にしたほのぼのとした家族小説、すこし変わっているが愛らしい子供がでてくる小説だったので、本作を読んで正直びっくりした。主人公は少しどころかかなり変わった人間で、それを取り巻く人々も大いに変わった人間ばかりだ。そしてその変わっている理由が、子どもの頃の極く普通の体験をその子どもがどう感じたかというところに根ざしているということで、何とも不思議な感じがしてしまう。かなり異様な世界のはずだが、読んでいて不快にならないというのも不思議な感覚だ。著者の作品の奥深さを味わうことのできる作品だと思った。(「ふくわらい」 西加奈子、朝日新聞出版)

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