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「なぜ?」から始める現代アート 長谷川祐子

現代アートをどう見たら良いのかを様々なテーマで解説してくれる本書。最初の2章くらいまでは、現代絵画に関する内容なので、馴染みのある「現代アート」という感じだが、読み進めるうちに、これもアートなのかと思うような作品、あるいはこれがアート作品と呼べるものなのかと思うような作品の紹介になり、そもそも自分にとってアートとは何なのかということが問われているような気分になってくる。目の見えない人のインタビューを基にしてそれを具体化させた絵画などは、間違いなくアート作品と言えるだろうが、「紛争地帯の国境に勝手に緑色のペンキを塗る行為」「友人に『元気だよ』という手紙を送り続ける行為」をアート作品として紹介されると、その定義そのものが揺らいでくる。要するに、そうした自己表現の背後にある、人を驚かせたい、「へぇ」と思わせたい、作品を通してコミュニケーションを図りたい、それら全てがアートということになるのだろう。こちら側が「なぜ?」と問いかけることが、そうしたアーチィストの意図に呼応することだと本書は教えてくれる。(「『なぜ?』から始める現代アート」 長谷川祐子、NHK出版新書)

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