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カラマーゾフの妹 高野史緒

少し前に話題になっていたことは知っていたが、読む機会がなく放置していた本書。遠い昔の学生時代に新潮文庫で「カラマーゾフの兄弟」を読んだ記憶はあるが、正直言ってどんな話だったかほとんど覚えていない。話の後半の方で、「審問官」の話があったことは覚えているが、それもどんな内容だったのかさっぱり思い出せない。それでも大丈夫かと少し心配だったが、そのあたりは著者も心得ているようで、内容を覚えていなくても、あるいは読んでいなくても楽しめるようにできているので助かった。巻末の著者自身を含む3名による鼎談をみると、数年前の「カラマーゾフ」の新訳ブームに触発されて書かれたとある。そういえばそういうこともあったなぁと思いだした。読み進めていくと、多分19世紀の話なのに、コンピューターとかロケットとかが出てきたりして驚かされるが、それこそが小説家の想像力の真骨頂なのだろう。ミステリーとしての娯楽性は少ないが印象深い1冊だった。(「カラマーゾフの妹」 高野史緒、講談社文庫)

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