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Ghostman 時限紙幣 ロジャー・ホッブス

「24歳の天才新人作家出現」などと騒がれて、書評誌等でも評判になっている作品。どういうジャンルか判らないまま読み始めた。時間切迫もののハラハラドキドキの作品だが、読んでいて、どうしても作者が何故24歳でこのような作品が書けたのか、本当に不思議な気がした。物語の根幹をなすアイデアもそうだし、裏社会を知り尽くしたようなディテールもそうだが、作者はどこでどうやってそれらを獲得して、作品にすることができたのだろうか?もしかすると、家族のなかに著名な作家がいるとか、こうしたジャンルの作品を集めているコレクターがいるとかで、小さい頃からこうした作品を身近に感じながら育ったのではないか、などの空想が広がる。訳者が解説のなかで、最初に読んだミステリーが「ダヴィンチコード」で、そうしたものなら自分も書けると思った、というエピソードを披露している。「ダヴィンチコード」が読んだ最初のミステリーというのも驚きだが、作品自体読んでいてとにかく驚きの連続だった。作品の構成は、オーソドックスな形式を踏襲しているが、それが実に読みやすいのは、やはりラノベのような現代感覚に親しんでいる若い人の作品だからではないかと思ってしまう。本書の場合、若いということが、そのハンディを完全に感じさせず、逆に良い面が全て出ているような気がする。次の作品、その次の作品と作品を重ねるなかで、変に凝った構成にしてみようかなどと思わず、このシンプルな作風でずっといてほしいと感じた。(「Ghostman 時限紙幣」 ロジャー・ホッブス、文藝春秋社)

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