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チャイルド44(上・下) T・R・スミス

スターリン時代の過酷な状況で起こる壮絶なサスペンス。一匹の猫の運命から始まる物語の構成の面白さに驚かされると同時に、最後の最後まで息をつかせないサスペンスに圧倒される。実際に起こった事件を題材にしているとのことだが、国家の無謬性が前提となった世界の恐ろしさを読者はまざまざと見せつけられる。読み終えてみると、無機質な題名にこめられた恐ろしさが心に迫ってくる。本書は著者の処女作ということにも驚かされる。著者の作品はすでにいくつも刊行されているが、それらがどのような位置づけの作品なのか、本書の続編なのか、全く違う舞台の作品なのか、いずれにしてもまた手に取ることになるだろうなぁという期待が膨らむ1冊だった。(「チャイルド44」(上・下) T・R・スミス、新潮文庫)

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