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あしたの君に 柚月裕子

恥ずかしながら、世の中に家裁調査官という仕事があることをつい最近になって知った。何気なく買った「新書」がその家裁調査官の仕事を解説してくれていて、その守備範囲の広さ、仕事の重要性などに非常に驚かされたのだ。同時に、このように日本の将来を背負ったような大切な職業があまり知られていないのはなぜなんだろうと思った。おそらく本書の作者も、ある時この職業の存在を知り、何故この仕事があまり知られていないんだろうと思い、そしてこれを小説にしたいと思ったのだろう。その気持ちの中には、この職業について多くの人が知ることが、決して誇張ではないのだが、この国の将来を大きく変える可能性があると考えたのだと思う。本書を読むとその職業の重要性・多様性がよく理解できる。単純なお仕事小説とは重みが全く違う充実した一冊だ。(「あしたの君に」 柚月裕子、文藝春秋社)

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