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リプレイ ケン・グリムウッド

海外ミステリーをたくさん読んでいる人に「最近出たハリー・オーガストも良いが何と言っても本書がすごい」と薦められて読んだ一冊。かなり高いハードルを設定して読みだしたが、最初からはまってしまった。持病の治療のために通っている病院に行く前に読み始めてしまい、治療後に安静にしていなければならない時間にも読むのをやめることができずに困った。最初の数ページで、主人公は43歳から18歳に逆戻りする。その逆戻りする年齢、逆戻りした時代が何とも絶妙で、胸にジンときてしまう。もし、自分にそのようなことが起きたら、役に立つ知識や記憶はどのくらいあるのだろうかなどとつい考えてしまう。競馬の知識が全くないので勝つ馬をあてて大儲けはできそうにない。唯一使えそうな記憶は「無敗の3冠馬シンボリルドルフ」というフレーズくらいだと思う。これならば3冠馬になるまでのシンボリルドルフの馬券を買い続ければ大儲けができそうだ。しかし、逆戻りする時代がシンボリルドルフの前とは限らないし、競馬ファンでない自分の知っている馬ならば強いだろうという程度の知識では、普通の人とほとんど変わらない成果しか上げられないだろう、などと色々考えてしまうのだ。本書は、中盤以降も、思いがけない展開が続き、最後の大団円へと至る。読み終えて、今年読んだ本のベスト1だと思った。(「リプレイ」 ケン・グリムウッド、新潮文庫)

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