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旅の理不尽 宮田珠巳

おそらく著者の本は「東南アジア四次元日記」「ふしぎ盆栽ホンノンボ」についで3冊目。既読の2冊のうちでは、ベトナムの盆栽世界を紹介する「ふしぎ盆栽…」が、インパクトがあって面白かった。もう一冊は面白かったという記憶はあるのだが内容は全く覚えていない。アジア諸国の旅行記はいくつもあるし、いくつも読んでいるので、特にインパクトあったり、特殊なものを対象としていたりしなければ、ほとんど記憶には残らない気がする。本書は、普通のサラリーマンが会社を辞めて、そうした激戦区の「アジア旅行記」の世界に入り込んだという、著者の最初の1冊だ。しかも当初は自費出版だったという。読んでいると、随所にいかにも「自費出版」らしい何となく危なっかしい言い回しが出てきて面白い。自費出版といえども、本を出版するのは「出版社」だろうから、そこにはある程度の「校閲」が入るのだろうし、そこは何となくメジャーな出版社とは異なる基準や手順があるのだろう。そんな本書が、どちらかと言えば学術書の多い堅いイメージの「筑摩文庫」で復刻されたというのが何とも面白い。(「旅の理不尽」 宮田珠巳、ちくま文庫)

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