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神様の裏の顔 藤崎翔

まず最初に、ある人物の葬儀の様子が葬儀社の職員のモノローグで語られる。この辺りから既に何かただならない雰囲気が漂っているが、その後複数の人物のモノローグが続くうちに、さらにどんどんおかしな雰囲気が増殖していく。ある人物のモノローグであれ?という疑問が生まれ、さらに別の人物のモノローグでその疑惑が少しずつ形を成していく。この辺りの読者の心理を誘導していく展開はお見事というしかない。最後の最後まで作者に操られながら、終盤のどんでん返しの連続を楽しむ。本書を読むまで作者の名前も本書の題名も知らなかったが、こんなに楽しい作品があったとは。本屋さんで偶然見つけた一冊。やはり、ネットでは出会えない本がまだまだ沢山あると実感した。(「神様の裏の顔」  藤崎翔、角川文庫)

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